Ken Stringfellow来日公演に寄せて
The PosiesのFrosting on the Beaterというアルバムをお持ちだろうか?僕のCDラックには未だにきちんと収納されていて、なんだったら年に何回も取り出してはCDプレイヤーに載せて再生している。
2021年8月にKUOWから発表されたKen Stringfellowに関するショッキングな記事は正面から受け止めるには辛過ぎて、無意識に避けていたのを覚えている。今回、Kenの来日公演の話を聞いてから、色々な感情が駆け巡ってやはりまとまりはない状態のままである。それでもこのオファーを受ける決断をしたThisTime Recordsには最大限の敬意を表したい。それくらい僕らにとってはThe Posiesは特別な存在だった訳なのだ。音楽を聴き始めた頃からそれこそ狂おしいほど情けないナードな青春と共にあったバンドを、初めてのクラブクアトロで招聘して、舞台袖でただただ号泣していた藤澤を見てもらい泣きし、ホテルの廊下でJonとKenがどちらともなくハミングし始めたのをみて勝手に熱くなったり・・・。元々断れるわけなんか無いのはわかっている。「罪を憎んで人を憎まず」という言葉を、僕が彼らの音を、Kenの関わった音楽を聴き続けるための免罪符のように利用していることは分かっているが、それでも様々なスキャンダルを抱えているミュージシャンの音楽と共に生きていくしかないのだ。だってそれらはもう僕の一部になってしまっているのだから。
このコメントを書く上で一つ背中を押してくれた動画がある。「Material Issues」というInternational Pop Overthrowフェスティバル主催David Bashと、Pop Detective RecordsのMark Hershbergerがやっている音楽チャンネルで、気のいいおじちゃん達がすごく楽しそうに最近買ったレコードの自慢や他愛無い話を交えつつインタビューをやっているのだが、このチャンネルの2024年9月12日#170の動画で、Ken Stringfellowのインタビューを行ったのだ。件の話も踏まえつつ、朗らかに音楽愛で包み込まれるいいインタビューで、少し肩の力が抜けた気がした。
発表されたことが事実なのかはわからないし、Kenが否定していることも事実かどうかもわからない。仮に本当に起こった事だったとしたらそれは非常に嫌悪すべきであることは分かっている。それでも僕は「音と人間は別物なのだ」と自分に暗示をかけながらKen Stringfellowのライブを見るつもりだ。
ワタナベオサム
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Dec 9, 2024