【インタビュー】Norman Blakeが自らランキング!Teenage Fanclubアルバムベスト10<第10位>
先日約5年振りとなるニュー・アルバム『Here』を発売したTeenage FanclubのNorman Blakeが、音楽チャンネルNoiseyがシリーズ展開している「RANK YOUR RECORDS」にて自らアルバムをランク付けする企画が公開された。
POWERPOP ACADEMYでは全10回にわたり、Normanのインタビューと共に和訳記事をご紹介して行きます。
第10位『Thirteen』
1993年リリース
── (Noisey)なぜこのアルバムが最下位なのですか?
Norman Blake:
音楽的なことよりも、当時の状況的なことの方が大きいな。このアルバムを完成させるまでに本当に長い時間かかったんだ。スタジオに籠りっきりでさ。ちょうど『BANDWAGONESQUE (1991)』のツアーであちこち飛びまわってる頃だった。このレコードはバンドにとってとてもサクセスフルなものになったよ。馬鹿なことに、ツアーから戻って数週間のオフあと、僕たちは懲りもせずまたスタジオに籠ったんだ。3~4カ月過ぎて気付いたら80もの曲の断片が出来ていた。そこから結局またマンチェスターにある別のスタジオに籠ってその断片から仕上げた曲が『Thirteen』になったんだ。決していやな感情を持っているわけじゃないけど、このアルバムのことを考えて思い出すのはしんどいハードワークのことだね。
── 多くのファンが『Thirteen』というタイトルがBig Starへのオマージュだと思っているようですが、真相は?
知ってるかい?このアルバムには13曲収録されているんだ。でもまあ、Big Starを聴いていたことは確かだし、Alex(Chilton)と作業したこともあったからね。珍しいことに、彼は僕らのことを気に入ってくれたんだ。彼はあまり多くの人を好きになるタイプではないんだけど、僕たちのことは違ったみたい。彼とはとても仲良くなった。彼は僕たちを見ていると若いころを思い出す、と言ってたよ。彼はビジネスなんか気にしてなかったし、僕たちもそうだった。だから、Big Starからの影響はサウンドに出ているよ。音楽以外からの影響も沢山ね。当時、メロディ・メーカー誌のインタビューで最近聴いている音楽について尋ねられたとき、Big Starと答えたんだけど、記者が「それ、誰です?」って言ったんだ。彼はAlex ChiltonもBox Topsも知らなかった。だから、当時その質問にBig Starって答えるのは程良くごまかすのにちょうどよかったんだ。
── アルバムカバーについて聞かせてください。Geffen Recordsは別のデザインにしたかったらしいですね。
Geffenのアート部門と正式に打合せした時、担当者がぜひアルバムカバーの制作やりたいと言うから、僕たちは「もちろん。検討させてもらうからアイディアを送ってよ」と言ったんだ。それで数カ月後に送られてきたのは、女の子が泣いていて“13”と書かれた白いTシャツにマスカラが流れ落ちているデザインだった。それで僕たちは「デザイン、ありがとう。でもちょっとアルバムのイメージと合わないみたいだ」と返したんだ。そうしたらロンドンにいる時に電話があって「これにいくら金を払ったと思ってるんだ」て言われて。だから「なぁ、僕たちは金をかけてくれなんて頼んでないよな?それに、君が持ってくるデザインに決めるなんて約束もしてない」そしたら彼は「もしこのデザインにしないと言うなら、Geffenが宣伝する気になるかどうかわからないぞ?」だから僕は言った。「そんなのどうでもいいぜ!」僕たちが納得しないものを使うなんて絶対に嫌だった。でも結局Geffenに1万ドル払ったよ。だってカメラマンやモデルやスタジオを使ってしまった以上、彼らはそれに金を払わなきゃいけないからね。
── まぁそのアルバムカバーは合わないですよね。
僕たちとGeffenはちょっとした行き違いになったんだ。彼らは僕たちを十代の女の子に売り込もうとしてた。Douglas Hartと作った「The Concept」のミュージック・ビデオを観たらわかると思うけど、Geffenが十代の女の子やMTV世代に僕たちを売り込もうとしているのを邪魔するかのような仕上がりだよね。僕たち自身、まだまだ若いバンドだったけど、僕たちの音楽はその世代に全くアピールしなかったんだ。
── それで、バスケットボールを水の中に入れたアルバムカバーにしたんですか?
そう、最終的にね。ベストなものではなかったけど。Jeff Koonsがバスケットボールを水に沈めるっていうアートを既にやっていて、それが気に入ってたんだ。だから、実はこのアルバムカバーは他人のアイディアをパクったものなんだよ。『Thirteen』にまつわる別のネガティヴな部分だね。まぁこのアルバムの制作過程は全体的にダウナー気味だったんだ。
<つづく>
Teenage Fanclub最新アルバム『Here』
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Sep 20, 2016