Akihiro Uchida's Best Album of 2015/内田 晶悠 2015年ベストアルバム
選び終わってざっと見てみると、いわゆる「パワー・ポップ」らしいクラシカルな作品が多かったなぁと思いました。とりわけトップ3枚はその傾向が強く、その意味では誰にでもお勧めできるかもしれません。皆様のお気に入り探しの助けになれば嬉しいです。
1 Nick Piunti / Beyond The Static
基本的にはシンプルな正統派パワー・ポップですが、メロディーの幅広さや適度な激しさ、スピード感も持つ良質なこの作品を今年のベストに選ばせていただきます!パワー・ポップって何?って言われた時に、今ならこれを差し出ちゃうかも。
2 Reno Bo / Lessons from a Shooting Star
元 Mooney Suzuki のベーシストによる2枚目のソロ。前半の軽快なパワー・ポップと、後半の、後期ビートルズやオアシスを思わせる壮大で濃密なロックのバランスが秀逸。3位と相当迷いましたけど、構成の見事さでこちらに軍配を上げました。
3 Michael Carpenter / The Big Radio
視聴→即購入。たちどころにお気に入りになった一枚。前作も評価が高かったように記憶していますけど、今作もなにしろ完成度が高い。好き嫌いが分かれるような癖もなく、メロディーも一級品と来れば、他に言うことはありませんね。
4 Mac McCaughan / Non-Believers
Superchunk のマック・マッコーンの初めてのソロ。80年代のディスコ・ポップを思わせる作風ですが、それは表面的な話。どんなスタイルだろうと彼の色に染まる比類なき一枚です。Superchunk、Portastaticファンは間違いないでしょう。
5 The Connection / Labor of Love
ニューハンプシャーのパワー・ポップバンドによる3枚目。初期に見られた60年代のブリティッシュ・ビート風メロディーはやや控えめに、パワー・ポップ風味が強くなりました。僕は個人的に、今作が一番好きですね。
6 Elvyn / Valley Of The Kilowatt Hour
トロントの4人組による2枚目。ティーンエイジ・ファンクラブの系譜に属する、美しいハーモニーと暖かいメロディーを持ち味とする正統派です。シングルにもなった1曲目「Ellie」が大好きで、何度も聞いちゃいました。
7 The Orange Peels / Begin the Begone
USのベテラン・バンドの最新作。ちゃんとアルバムを聞いたのは初めてでしたが、評判通りのサイケ・ポップが素晴らしく、聴き終わった後に残る心地よい浮遊感がたまりません。癖になっちゃいそうですね。
8 Biters / Electric Blood
Poison Arrows時代も含めてようやく出た1st。グラム・ロックを感じさせるバンドの最後の大物って感じでずいぶん待たされましたけど、期待を裏切らない快作。カッコイイです。センスの塊です。
9 Kurt Baker Play It Cool
おなじみカート・ベイカーの新作。相変わらずの無邪気なロックンロールで安心します。やや疾走ナンバーが増え、Leftovers時代に少し回帰しているように思えました。個人的には嬉しい方向性です。
10 Pugwash / Play This Intimately (As If Among Friends)
落ち着いた作風やトーマス・ウォルシュの風貌も影響してるかもしれませんが、もはや重鎮の佇まい。前作よりも裾野が広がって色々なタイプの曲が楽しめますが、それらを包み込んで統一感を持たせてしまう、おおらかなヴォーカルが魅力的です。
<内田 晶悠>
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Jan 4, 2016