【ライヴレポート】ナードマグネット@代々木Labo 2015.6.20 / POWERPOP ACADEMY

【ライヴレポート】ナードマグネット@代々木Labo 2015.6.20

Mixtape Release Tour Final 東京編

満身創痍といったような形でステージを降りるメンバー。しかし、アンコールの拍手は鳴り止まない。またも慌てて藤井が戻って来る。「大丈夫ですか?Laboさん?」と謙遜しつつ、確認。OKサインが出ると、メンバーが帰ってくる。「何の曲演ったらええねん！お前ら！」、須田が叫ぶと、「新曲をもう1回！」との声もあったが「そんなんシラけるやろーじゃあこのイベントに来てくれてるくらいやから、皆わかってる曲演ります。分かってない人も合わせて歌ってください！」と返答。披露されたのは、Weezer「Photograph」！！これで会場のボルテージも最高潮に。Who〜のスキャットやリリックまで口ずさむオーディエンスも続出。それも、ここでダブルアンコールのために用意してきたかのような、ナードマグネットのパーフェクトな演奏があってこそだ。およそ2分の短い曲であるが、歌いきった須田はバスドラムの上に飛び乗り、ジャンプ！須田は後に、Twitterで「フォトグラフ最後ぐだぐだでごめんなさい(笑)」とツイートしたが、グダグダどころか、ナードマグネットを知っているオーディエンスも、Weezerを知っているオーディエンスも、どちらも知っているオーディエンスも、どちらも知らないオーディエンスでさえも、その空間を存分に楽しんでいただろう。誰もが口ずさんでいた光景が今でも浮かぶ。

こうして、ナードマグネットの「Mixtape」リリースツアーファイナル東京編は終演を迎えた。バンドの機材が片されていくなか、須田と話す機会があった。
僭越ながらそこでの話をさせていただきたい。僕は、SuperchunkのTシャツを着ていたのだが、須田はすぐに「Superchunkじゃないですか！」とツッコミ。僕も「素晴らしかったです。Weezerのようで、Motion City Soundtrackのようで、でもそれらのどれでもない、ナードマグネットのライブでした」と伝えると、彼は、「MCS！のレビューを書いてらっしゃいましたね、僕が世界で1,2を争うくらい好きなバンドです」と笑顔で答えてくれた。その笑顔が、本当に心の底から、パワーポップが好きで、それを受け止めて、嘘をつかずに、実践してきた人ならでは、といったもので、ドキッとさせられた。また、彼らと僕は同郷(僕は大阪生まれ京都育ち)で、同じ地方で、かのメロディが生まれていると思うと、羨ましいという気持ちにさえなった。
パワーポップを全力で引き受け、そして発していく。その覚悟をナードマグネットは証明してくれた。そのように感じられる一夜であった。

セットリスト
1.ばくだんベビー
2.pluto
3.C.S.L.
4.(Let Me Be) Your Song
5.恋は呪い
6.ラズベリー
7.プロムクイーン
8.いとしのエレノア
9.テキサス・シンデレラ
10.Mixtape
11.ウェンズデイ

En1.アフタースクール
En2.Photograph(Weezer cover.)

photo by Masahiro Arita
reviewed by 青野圭祐