【ライヴレポート】Ben Folds at Bunkamura オーチャードホール 2014.11.17
The Ben Folds Orchestra Experience
では、公演初日(11月17日)の覚え書きを。
・オーケストラのメンバーが登場し着席→指揮者登場→コンサートマスター(枝並千花さん)がピアノでAを鳴らす→その音でオーボエがチューニング→じわじわと全員がチューニング。弦楽器はコントラバスまで入れて20人ほど、管楽器は木管、金管それぞれ4~5人、打楽器はおそらく5~6人。あとグランドハープもいて、合計40名弱といったところでしょうか(すみません、私の席からはオーケストラの全貌が見えなかったもので…)。男性がジャケットの下に着ているシャツも含めてみなさん黒づくめで、とてもクールです。指揮者の栗田氏がこれまた激しくかっこいいのですが、それについての詳細は自粛しますね(笑)。
・ステージ下手側(向かって左)からBenさん登場。細身のスーツに白いシャツ+ネクタイ+革靴という正装。やばい、かっこいい。惚れそう!
・オープニングは「Zak And Sara」。オリジナルの雰囲気を丁寧に保ちながらアレンジされたオーケストラの音が豪華で美しくて、いきなり驚愕です。海外のレビューで見かけた「オーケストラの魔法がBen Foldsのストーリーに色彩を加えた」という一文が頭をよぎります。この曲では、今回のツアーでは見られないと思っていた“脚を前後に開いての中腰・立ちピアノ”も披露。曲のエンディング、凄い勢いで弾きまくるピアノと大迫力のオーケストレーションでドラマチック過ぎ!!
・グランドハープや木管楽器、バイオリンなどが密やかに奏でる小鳥のさえずりみたいな音に導かれた2曲目はBFFの「Smoke」。この曲に限らず、しばらく何の曲だかわからないのが多くて、おもしろい。ワクワク。あの、ちょっぴり哀愁漂う鍵盤ハーモニカが管弦のアンサンブルに置き換えられ、エレガントなテイストになっていました。オーケストラだけの間奏を“お利口さん”な感じで聴いているBenさん、かわいいですね。
・管弦のうっとりするような和音で始まったのは「Jesusland」。なるほど、頭のアカペラコーラスをオーケストラバージョンにしたのかぁ。やられた(笑)。…ただしこの曲に関しては、オリジナルの軽快なリズム感がオーケストラにひっぱられてちょっともっさりした感じになっちゃったかな。
・ピアノのみで始まった「Picture Window」は、もともとストリングスがたっぷり入った曲なので、“あの音”が目の前で再現されているという印象。Benさん、声出てますね。
・指に巻いてたバンドエイドをはがし(笑)、さらっと曲紹介して始まったのが、3楽章からなる日本初披露の「Concerto for Piano and Orchestra」。これがもう、凄い! この作品を作曲するに当たってBenさんは古典派から現代まで、さまざまなピアノ協奏曲を聴きまくり、そこで得たインスピレーションを統合していったといいます。演奏が始まるやいなや、次々とダイナミックに色彩が変わっていく音世界はまさに圧巻。モーツァルト、ベートヴェン、シューマン、チャイコフスキー、ブラームス、ラフマニノフ、そしてガーシュウィン(!!)……。さまざまな巨匠たちの名が脳裏に浮かんでは消えていきます(クラシック音楽に詳しくないので、このくらいしか浮かばなかったけど(汗))。そして、繰り出されるBenさんの超絶ピアノ!! ここまで巧いピアニストだったとは……。立ち上がり、左手をピアノの内臓(?!)に突っ込んで弦を押さえながらの高速三連符連打も迫力ありましたね。最後はハープのグリッサンド→弦楽器全員のピチカートという、非常に可愛らしい音で20分を超える大作が終了。ひと呼吸おいて、割れんばかりの拍手(ずっと圧倒されっぱなしで“ふと我にかえった”みたいなお客さん、多かったんじゃないかな)。「Concerto for Piano and Orchestra」がどんな作品なのか気になる方はこのオハイオ公演の動画をどうぞ。
・拍手がおさまるとニューオリンズ風味のドラムが鳴り始め、会場の空気が一変。そこへクールにスウィングするクラリネットが。うわっ、BFFの「Steven's Last Night In Town」だ(喜)!! ホーン大活躍のイカしたナンバーにストリングスまで加わっちゃって、もーーー最高です。これは現実? 夢の中じゃないの?!と本気で疑いましたよ。そして興奮しまくる観客を残してBenさんが退場し、第一部終わり。
・20分の休憩を終えて、オーケストラと指揮者が入場。チューニングが終わってBenさん登場。音程確認もせずに、いきなり歌い出したのは「Effington」。この曲、オーケストラがむっちゃハマってましたね。っていうか、今となってはオリジナルにオケが入ってないのが不思議に感じるくらいです。迫力満点どころか迫力百満点(笑)。
・お次は、やけに荘厳なストリングスで幕を開けた「Landed 」。ストリングスバージョンが存在するくらいなので、当然オーケストラとの相性は抜群です。
・かつて新聞で読んだという長~い文(=Cigaretteの歌詞)をスラスラとそらんじ、“これを曲にしたんだ。パート1だよ”とか説明して、BFFの「Cigarette」を静かに弾き語り。
・“で、これがパート2”と「Fred Jones Part 2」へ。オリジナルのチェロが醸し出す渋い深みもいいけど、オーケストラバージョンのちょっとスノッブなムードもいいですね。
・そして、これまたオリジナルでもチェロ(とコントラバス)が効いている「Gracie」。Benさんがポロロンとピアノを弾く静かなパートと、オーケストラが美しく響き渡るパートのあらわれ方が、寄せては返す波のようで心地いい。
・“次の曲には3パートのハーモニーが出てきてね……”とか言いながら、マイクスタンドをステージの前面へと運ぶ。よっしゃ!! おまかせください!!「Not The Same」ですね!! キビキビとしたBenさんのご指導のもと、コーラスレッスン。そして演奏はすべてオーケストラにおまかせして、Benさんは歌に専念。コーラス登場の場面になると、大きなジェスチャーで両手を上げたり下げたり。この両手の位置に合わせて、観客は高低2つの音の間を行ったり来たりします(いつもながらBenさんのファンは、コーラスのクオリティ高い!!)。間奏でのBenさんのファルセットボイス、響く、響く!! そして終盤は、3パート・ハーモニーで遊ぶ、遊ぶ。Benさんが気ままに上げ下げする手の位置に合わせて、懸命に歌う観客たち。いや~ん、私たち、もてあそばれちゃいました・
・で、ピアノに戻っていきなりBFF「One Angry Dwarf And 200 Solemn Faces」に突入!! オーケスラがスリリングきわまりない音をかぶせてきます。(お客さんほとんど座っているにも関わらず)ホール内の熱気、はんぱないです。なんだよ、この高揚感は!! 曲がむっちゃド派手に終わると(おそらく)すべての観客が弾かれたように立ち上がり、やんやのスタンディングオベーション。素晴らしかったよ!! ありがとぉーーー!!
・アンコールの拍手に応えて、Benさん再登場。おかえり!! そしてBFFの名曲「Brick」。存在感はあるけど決して華美ではないオーケストラアレンジが、この曲の美しさをさらに際立たせていました。
いやぁ、素敵なコンサートでした。演奏された曲数は少なめですが、どの曲も新鮮で芳醇な“音のミルフィーユ”。心はしっかり満たされました。
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Nov 24, 2014