【INTERVIEW】引退式が開幕戦に!逆転で快進撃を続けるbig the grape『Sour Grapes』発売記念インタビュー
Interview with big the grape
セカンド・ミニアルバム『Sour Grapes』が絶好調のbig the grape。7/20(日)に『Sour Grapes』発売記念ワンマンライブを開催する彼らにインタビューを敢行した。デビューからわずか半年という短いスパンで完成した訳は?バンドを引退するかもしれなかった?など出会いから現在までを振り返るロングインタビュー。
引退試合のはずが開幕戦に
POWERPOP ACADEMY(以下PPA):こんばんわー。そろそろインタビューはじめてもよろしいでしょうか?笑
ウム(ベース・ボーカル):はい!話切ってくれて助かったよ〜。こんな話ききたくなかったもん笑 ※ここまで松井さんによる雑談タイムが延々と続き、誰もがタイミングを伺っていた
一同:笑
big the grape:では、よろしくお願いしまーす
ということでまるでいつものステージ上を連想させる松井さんオンステージで幕を開けるインタビュー。
Q:どんな出会いからバンドが?
PPA:POWERPOP ACDEMY初登場ということで、メンバーの出会いを教えて下さい。
ウム:僕とサルーンさんは20年くらいの付き合いで、ビークル時代からお互い知っていたんですけど、FREAKYFROGを休止したときに新しいバンドを一瞬組んだんだけど、それがポシャっちゃって。
サルーン(ドラム・コーラス):それでその後も組んでポシャるってのを繰り返してて、いい加減ウムがもうバンド自体いいかなーってなっちゃった時期があり…。
ウム:僕バンド業界というか、その人間関係もなんだかだんだん面倒になってきて。加えて、バンドとしての新しいアイデアが自分から出て来ないんじゃないかなっていう閉塞感もあったから、もう一人で曲作って弾き語りスタイルでやりながら余生をすごそうかなと思ってて(笑)。ある日、弾き語りでサルーンと二人で出てくれないか?というオファーがあり、当時何度かやってた“サル屋敷”として出る事にして。それが2012年の8月14日だったかな?自分的には、バンドやユニットみたいにやるのはもう最後かなと思っていたから、ゲスト入れて祭りにして終わっちゃおうかなっていう「引退式」にしようと思ってたんです。その時なんとなく、最後にベース弾きたくなり「サル屋敷+α」みたいな感じでサポートギターを入れる運びになり、それでマツイさんに連絡したんだよね。
PPA:二人は元々知り合いだったんですか?
マツイ(ギター・ボーカル):FREAKYFROGのときに僕がやっているotoというバンドで対バンしたことがあって。声をかけられたとき、otoがあんまり活動できてなくて、そろそろ新しいバンドとかやってみたいなと思ってたんです。
ウム:それで、こいつは暇なんじゃなかろうかと思って誘ってみたんだよね。昔からなんとなくは知り合いだったけど、まさかこんな人だとは思わなかったけど(笑)それで、初めて3人でスタジオ入って音出したときに、あ、この音いいじゃん!って思ったんですよ。さっきも言った通り、その頃自分の作る音楽をジャンルで捉えようとしていて、その結果、閉塞感をすごく感じていたんだけど、このバンドで最初にせーので音を出した時の何とも言えないグルーヴ感、バンド感というか、すごい新鮮でとてもいいなぁと思って。あぁこういうのがバンドの良さなんだなって再確認して。
サルーン:やっと気付きましたか(笑)
ウム:そうそう、やっと気付いたんだよ(笑)
PPA:仕掛けとか色々考えすぎて頭でっかちになっちゃってた時期だったんですね?
ウム:そうだね。メンバーがマツイさんとサルーンさんじゃなかったら違うものになってたんでしょうね。
PPA:そういう感じは、サルーンさんと二人でやってるときもあった?
ウム:それまでサルーンさんと一緒にやってバンドでは、僕はギターを担当してて、ベースは今回が初めてだったんですよ。僕がベースをやって、マツイさんのギターが入ったから生まれたバンド感だったんでしょうね。
サルーン:そんなこんなで、引退試合のはずが開幕戦になっちゃった、みたいな(笑)ホントにせーので音出した時に、あれつ、これはもしや?みたいなのはあったよね。それが理論的に何なのかっていうのはうまく説明できないんだけど。声の混ざりなのか、楽器の混ざりなのか。
PPA:声の持つ何かっていうのは、やっぱりあるのでは?
ウム:確かにあるかも。その時演奏したのは“サル屋敷”用に作ってあった1枚目に収録されている「TOKYO on my mind」とかだったかな。もちろん初めて3人で合わせる曲だから、曲の説明をして、せーので音を出し始めたら、マツイさんが頼んでもないのにいきなりしゃしゃり出てハモりだして(笑)。でも、それが結構良くて。マツイさんが下をハモって、そこにサルーンが上を乗せてくれて、最初からいい感じでしたね。
PPA:じゃあ、初めてのスタジオで「TOKYO on my mind」はじめbig the grapeの突き抜けた三声コーラスの原型はできていたということですね。それは驚きです。
ウム:確かに三声コーラスって合わせるのが難しくて、やっているバンドって少ないからこれは売りになるぞ、と。
PPA:前作・今作を聞いて感じたのが、歌からメンバーが見える音源って久々だなってことです。コーラスを含め、この“三人”です、という。今時の音源って良い意味でも悪い意味でもズレやブレを排除しているから、コーラスなんかも、逆に誰が歌っているのか見えない作りになっているじゃないですか。big the grapeの音源は三声コーラスでもその声が誰の声かってすぐわかりますね。しかも三人とも声に特徴がある。
サルーン:確かにうちらはボーカルが一人で被せたりはしないですね。全部三人とも各自のパートを歌ってるね。
ウム:声がいい感じの混ざり方をしつつ、個性も出てるのかもしれないね。誰がどこを歌うかとか、そこら辺は多少は意識してますが。
サルーン:結構いろんなパターンがあるよね。まずリードボーカルが二人いるから、俺が下に行く時もあるし、上に行く時もあるし。マツイさんが結構わがままなんだよね(笑)。「誰かがここを歌って」みたいな話し合いになった時、「ここ松ちゃん歌ってみて?」って言うと「俺そういうのやってないんで」みたいに断られる(笑)。
マツイ:いやーそれは嫌なんじゃなくて、難しいことできないんですよ。サルーンさんのやってるコーラスって難しくて、僕は単調な音しか取れないから。
ウム:それは松ちゃんが“気持ちいい”とこを先に取っちゃうからだよ(笑)あとは合間を縫うしかないからねぇ。
マツイ:歌とかあんま歌えない人でも歌えちゃうなハモりってあるじゃないですか?僕はスタジオでそれをいち早く最初に歌っちゃうので。よくわかんないけどキマルと気持ちいいみたいな難しい音程は全部サルーンさんに歌ってもらいます(笑)。
PPA:サルーンさんのコーラスワークは変幻自在ですからね。ちなみに、otoの時はどうなんですか?
マツイ:otoもbig the grapeと同じで歌い手が二人だから、同じですね。でもotoはドラムが歌わないので、三声ではないですけど。
サルーン:だいたい、ドラムでコーラスするの結構大変なんだからちょっとは協力しろよ(笑)。
マツイ:労れやと(笑)。まぁ、でも三声だから歌の組み合わせは大変ですね。二人だとリード、コーラスで合えばOKですからね。
Q:big the grapeとは?
PPA:作曲や構成の決め事は各バンド色々ありますよね。ちなみに、バンドとして何かスローガンみたいなものはあるんですか?こういう曲を作っていこうとか、こういう活動をしていこうとか。
ウム:曲作りやアレンジに関してはサルーンと俺は被ってる部分はあるんだけど、マツイさんは全然違うからね。だって、ROLLING STONESを知らなかったくらいだからね(笑)。だからあったとしてその通りの形にはなりませんね(笑)
マツイ:ミック・ジャガーをプロボクサーだと思ってましたからね。
ウム:元々60年代の音楽が好きだったから、それをテーマ・モチーフにして曲を作ってる部分はあるけどね。唯一三人が被ってる部分としては、90年代以降のインディー・ギターバンドのスピード感みたいなものかなぁ。だから疾走感というか、そういうところのイメージはみんな近いかも。60年代の曲っていい曲たくさんあるけど、聴いててそのテンポ感がダルいなぁって思うこともあって(笑)だからモチーフは60年代でも現代のスピード感でそれを再現しているんじゃないかって思ってます。
PPA:じゃあ明確に60年代から90年代にアップデートしたという感覚はあったということですね。
ウム:そうですね。例えば60年代のフォークソングみたいな曲でも三人でやってみてこのバンドの良さが出るのは疾走感があるアレンジなんじゃないかなと思いますね。
PPA:アコースティックライブを見た時に、やっぱり60年代がベースにあるのかなっていう風に思いましたね。そこにFREAKYFROGが持ってたようなパンク色というか、疾走感を加えたポップミュージックをやりたいのかな、という意思を感じました。
ウム:そうですね。ただパンク色っていうのは少し薄いかもですね。
PPA:活動に関しては?
ウム:活動に関しては…生活に負担がかからない程度で(笑)それでもリリースのスパンはこの世代のバンドにしては比較的空いてないかもね。
Q:半年で2作目が完成したワケは?
PPA:デビューから半年で2作目ですからね。その辺は元から計画されていたものなんでしょうか?
サルーン:レコーディング始めたときにフルアルバム分の曲数を録ることになったんだけど、それをどうリリースするかってのはPOPWORK(big the grapeのレーベル)と話して決めて。結局ミニアルバムを二枚出す事になって。先に1stミニアルバム『How!?』の方を録音して、残りを今作に。
マツイ:2枚に分けた理由は歌詞や曲の雰囲気もあったんですよね。『How!?』リースが11月だったから、必然的に「サマーレイン」とかは時期に合わないねっていう話になって。相当古い曲だったけど、2ndに収録されて。
サルーン:そういう季節感もあって、自作は夏までには出そうという話になり、この6月というタイミングになりました。
マツイ:それ以降できた曲、まだパッケージングしてないですもんね。
サルーン:POPWORKが夜逃げしなければ(笑)、その次も出せるかもね。
ウム:もし夜逃げしたら…。
サルーン:そしたらPOWERPOP ACADEMYから融資してもらって。
マツイ:POWERPOP BANKから(笑)
ウム:まぁでも、いい感じに新曲できてるよね。
マツイ:そう、“第二幕”っぽい感じのができてますね。『Sour Grapes』までがボクらの第一章的な感じですね。
ウム:面白いことに、これまでに出来た曲は、メンバー全員の共通点である90'sテイストを含んだスピード感重視の曲が多かったけど、今作っている曲はそうではない曲もあって、これまで信じていたこのメンバー3人でのバンド感ってのが大丈夫なのかと(笑)。この先、作っていったらこの感じは違うってなって、今回と同じようなものになっちゃうかもしれないし、全く違った新しいものになるかもね。
サルーン:もしくは行き詰まってまた“サル屋敷”に戻っているか(笑)
ウム:(笑)まぁ全体的にはいい感じに進んでいるのですが、松ちゃんの曲完成させるの大変で(笑)
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Jul 18, 2014