【ライブレポート】フジファブリック at オリックス劇場 2013.5.17
HALL TOUR 2013 VOYAGER ロングレポート
フジファブリックにとっての初のホールツアー、「VOYAGER」が全公演、無事に終演した。壮大な演出とパフォーマンスを繰り広げた彼らに、改めて拍手を送りたい気分だ。先日は、速報記事(【速報ライブレポート】フジファブリック at オリックス劇場 2013.5.17)で、その大阪公演の模様をお伝えさせていただいたが、ツアー終演に際して、改めてロングレポートで、その大阪公演、フロントマンとなった山内総一郎にとっては、ホームタウンでの凱旋公演となったショーの模様をお伝えさせていただきたい。曲目や演出にも踏み込んだレポートにさせていただいたので、長文をご容赦いただきたい。
「宇宙船の中はカラフルな万華鏡であると同時にどこまでも透き通ったブルーの世界だった」
速報で、こんな言葉を使って、その模様をお伝えさせていただいたが、フジファブリックの初のホールツアーは、開演と同時に地平から飛び立って宇宙船に乗り込んで、月の裏側まで突き抜け、流星群を眺め、本編終演で、またこの地平へ帰って虹を眺めるというエキサイティングなショート・トリップだった。
開演前、開場から10分程過ぎた頃にオリックス劇場に到着して、そのオーディエンスの多さに驚きを隠せずにいられなかった。オリックス劇場の内外にファンが集まっており、会場の中まではチケットを持ってまだかまだかとばかりに早く入場したい!と思うファンの長蛇の列が連なっているかと思えば、会場の目の前の公園には、フジファブリックの過去のツアーグッズを身にまとったファンたちが和やかに待機してもいる。その光景に、思わずフジファブリックもここまで大きなバンドになったのかと感慨深くなってしまった。
入場しても多くのファンが今か今かと開演を待っている。自分のシートに着くまでの道中、僕の耳にこんな談笑の声が飛び込んできた。
「すごいな!全席シートがあるんや!これホンマにライブなんか?コンサートって感じや。フジ(ファブリック)も成長したなー」
そんな声も飛び交うのも当然と言えるまでに、3階のシートまで全席ファンで埋まっている。しかも、当日は金曜日とは言えど、平日にも関わらず、そのファンの多くが何らかのバンドTシャツを着ているのもまた、彼らへの愛の表れであったように思え、その熱がどデカいホールに負けないくらい膨れ上がっている。
その熱気に飲まれそうになりながら、ステージに目をやると、何やら電飾のバーが幾本も伸び、上部にはルービックキューブのような正方形のマス目がついた立方体が3,4個浮かんでいる。
思わず「何だこのステージは!?」と思いながらも、開演予定時刻から10分が過ぎた時に、客電が灯ったまま、スペーシーなシンセサイザーの音色と七色の光が会場を包む。緻密に、しかし、どんどん大胆に加速していくシンセサイザーの音と光の交差。まるで宇宙船に乗り込んだかのような錯覚に陥ってしまうも束の間、客電が一斉に落ち、オーディエンスが総立ち状態になる。フジファブリックの登場だ。
ステージも暗いまま、金澤ダイスケがシンセのレイトとカットオフをいじっているのか、スペーシーな音色が一気に加速してパワフルなバンドアンサンブルへ。「Small World」だ。オープニングのイントロと同時にオーディエンスが一斉にハンドクラップを始める。それに呼応するかのように、山内が大袈裟にギターをかき鳴らし、タイトなリズム隊が追随する。サビの山内のシャープなハイの歌声がオーディエンスを一体感に誘ったかと思いきや、間奏では、山内が「大阪!」と絶叫。のっけから凄まじいテンションだ。マジシャンのような山高帽を被った金澤のスタイリッシュに暴れ回るシンセの音色が会場のそこかしこを走り回る。このサウンドと光景だけで、既に僕達は宇宙船の中に誘われているのだと実感させられる。
…のも、また束の間、暗転。山内が息を吸い込み、カウントする。「いち、に、さん」。電飾のバーも山内のカウントと同時に「1,2,3」と映し出す。「夜明けのビート」だ!一瞬で照明が赤く染まり、会場を夜明けの熱が包み込む。間奏でベースの加藤慎一と向き合ったりと、相変わらず大袈裟にプレイする山内だが、この曲では、それがより激しく打ち出て、ギターソロは彼の得意技、背面弾きのパフォーマンスで暴れ回り、オーディエンスも一気にボルテージが高まる。最初からこんなハイテンションで大丈夫か!?と心配したくなるほど、ブレイク部分も含め、あまりにパワフルな演奏だ。
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Jun 18, 2013