【速報ライブレポート】フジファブリック at オリックス劇場 2013.5.17
大阪公演
今年3月に、3人体制となってから2枚目となるフルアルバム『VOYAGER』(http://www.powerpopacademy.com/distro/2013/05/01-211359.html )をリリースしたフジファブリック。レヴューでも書かせていただいたとおり、この色彩豊かで軽やかなサウンドによって宇宙へのショート・トリップを見せてくれた彼らは、今、彼ら自身初となるホールツアーに出ている。
ツアータイトルは、アルバム同様に「VOYAGER」。繰り返すまでもないが、「旅人・航海人」を表す言葉だ。ツアーは既にラストスパートに入っており、残すは、キーボードの金澤ダイスケのホームタウン、茨城での追加公演のみである。
今回、僕はツアー終盤戦の始まりとも言える大阪公演、オリックス劇場で彼らのホールでのパフォーマンスを体感する機会に恵まれた。その模様をお伝えしたい。が、正直に言って、こんなことまでしてくれるのか!という、緻密ながらも大胆な演出の数々であったゆえに、まだ今回の彼らのホールでのパフォーマンスを体感していない方のために詳細なレポートは、ツアーの全行程が終演した26日以降にお送りし、今回は速報という形で簡潔にその模様をお伝えしたいと思う。
「宇宙船の中はカラフルな万華鏡であると同時にどこまでも透き通ったブルーの世界だった」
あまりに変な形容で驚いてしまうかも知れないが、そのような、ともすれば珍妙にも聞こえもする言葉がしっくり似合うまでの、まさに彼ららしい、時にファニーで、時にスリリングで、時にはち切れんばかりのセンチメンタルで塗られていられながらも、徹底された「航海」に乗り出すための演出の数々。
ライブ中盤から後半へと突入する前のMCで、フロントマンとなった山内総一郎はこう語った。「今やってるこのツアーはVOYAGERなんだけど、ご存知の通り、アルバムのタイトルと同じなんですね。(アルバムタイトルにもなった)『VOYAGER』は旅人という意味なのですが、自分たちもそうして旅をしながら曲を作ったり演奏したりしたいと思っていて。そして聴いてくれた皆さんと同じ旅路にもなれればと思っています。アルバムを作ってライブをやってVOYAGERは完成と思っているんです」
この言葉が表すように、彼らの初のホールツアーは、オーディエンスを宇宙へ、水平線の向こうへ、様々な「向こう側」へと連れて行く一つの旅のドラマであった。『VOYAGER』というアルバムだけでも、リスナーをサウンドでショート・トリップに誘ってきた彼らだが、ライブではさらにダイレクトに、トリップさせる幾つものギミックに満ちていたのだ。
閃光の合間にパワフルに演奏される数々にオーディエンスは、山内が「せっかくのホールツアーで席もあるのでゆったり聴いてね」との言葉とともに落ち着いた曲がプレイされるまで終始、総立ちで彼らを迎えると同時に、彼らが提示する旅へのチケットを手放さないように踊り、飛んでいた。
大袈裟なモーションも交えつつ、旅の舵を取るようにエモーショナルにギターをかき鳴らし、伸びやかな歌声を響かせる山内、まるでマジシャンのような山高帽を被って大胆なフレーズを淡々と弾きこなすことで一貫してクールにオーディエンスをアジテイトする金澤、彼らを支えつつ随所でコーラスワークが光る加藤慎一、彼らのダイナミックなステージングにハンドクラップの嵐が巻き起こったり、ペンライトがサイリウムのように光ったりするドラマティックな情景が幾つも重なっていく。
フジファブリックが魅せるショート・トリップは、この地平から宇宙へと飛び立てるまでに大きな演出とそれに見合う彼らのパフォーマンス、そして彼らと共に旅に出る航海人、『VOYAGER』としてのオーディエンスによって、アルバムよりさらにダイレクトにカラフルな世界として成立していたのだ。
時にセンチメンタルで、時に強靭なまでにダイナミズムを讃えた彼らにとって初めてのホールライブの、セットリストやドラマティックな演出の数々も踏まえた詳細なロングレポートは、後日、全ての公演が無事、終演してから改めてお送りさせていただきたい。
拙文で皆さんにその全貌を伝えることができる日が今から楽しみでやまない、1人のオーディエンスとしても、そう思える素晴らしくエキサイティングな宇宙旅行であった。
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May 21, 2013