【INTERVIEW】「日本ですごく自由があります」Scott & Riversインタビュー (1)
『スコットとリバース』発売記念インタビュー
WeezerのリバースとALLiSTERのスコットがまさか組み合わせで日本語バンドデビュー。素晴らしいデビューアルバムをドロップした二人にドキドキ生インタビュー!
僕が生まれて初めてインターネットを使ったのはもうずいぶんと前のことになるが、その時初めて検索した単語、それは「WEEZER」だった。当時は音楽に関する情報を集めるなんてレコード屋に足しげく通うことと、月刊誌を隅から隅まで読み漁ることくらいしか手段がなかったのだからそれはとても自然な行為だったわけである。そんなまさに「憧れの人」、WEEZERのRivers Cuomoが、あのALLiSTERのScott Murphyと一緒に新バンドを結成、しかも日本語のバンドらしいと聞いたときは正直自分の中で受け入れることが出来なかった。遂に憧れのRivers Cuomoも昨今の韓流ブームのように日本で外貨を稼ぐ方針になったのかとか、Rock Star Cardの返却も近いなとなどという不遜な考えが頭をよぎった・・・。
しかし、新バンド「スコットとリバース」の音源を聴いた瞬間、僕らの凝り固まった頭は後ろから思いっきりぶん殴られた気がした。その新バンドは「とても」良かったのだ。曲はもう文句のつけようのない素晴らしい出来である上に、日本語の歌詞が自然に頭に入ってくる。「やられた」そう思ったバンドマンは少なくないと思う。
それでも疑問は残る。なぜ今日本で、しかも新バンドを結成したのか?今回は注目の二人にインタビューを敢行。しかも通訳無しの日本語でのインタビュー!!
PHOTO BY ASAMI OKUYAMA
今回はインタビューの機会ありがとうございます。 僕らはPOWERPOP ACADEMYといいいます。パワーポップといえば普通はBig StarやRaspberriesなどクラシックなイメージがあると思うんですけど、僕らはWEEZERに人生を変えられたといっても大げさで無いくらいのファンで、WEEZERに影響を受けたバンドやサウンドを新しいパワーポップ像として、そこから新旧掘り下げていく珍しいメディアです。今日はよろしくお願いします。
── 明日には遂にアルバムがお店に並びますね。くまモンのイベントやTV出演など多くのキャンペーンをなされていますが日本のキャンペーンはどうですか?
リバース:すっごく、楽しかったです。
スコット:すごく面白いです。アメリカより面白いです。何が起こるかわからない。
── スコットは少し慣れてる部分もありますよね?
スコット:僕はちょっと慣れているけど、でも長くやっても慣れるもんじゃないから。
── アメリカはショービズの世界、日本では芸能界。この芸能界のキャンペーン方法は世界に類を見ない特殊なものだと思います。違いって感じますか?
リバース:アメリカではアーティストは特別な人だから、くまモン体操みたいなことは全然無いデス。後、・・・マッチャ?(抹茶)
── ああ、「加藤浩次にまずい」っていじられた件ですね!
スコット:(物まねしながら)「非常にマズイ!!」(笑)アメリカではあまり言わないですね。
(今年はじめにTV番組スッキリに生出演した際、最近ハマっていることという事でリバースがたてた抹茶を飲んだお笑い芸人が「非常にマズイ」と笑いを取った件。)
リバース:でもいいことだと思います。・・・謙虚になります。
スコット:アメリカだとアーティストに恥ずかしいことをさせないようにプロモーションをするけど、日本は逆で・・・。
── 僕らはそういう意味で行くとWEEZERのようなバンドが中心にいるメディアなので、スッキリとかを見ると心が痛くなっちゃいますね。「リバースが!!」って。
リバース:でも楽しいですか?
── うーん、楽しいです。でもなんか信じられないというか。僕らの世代って雑誌中心だったんですよ。それが、僕らのリバースがお笑い芸人と何かをやっているっていうのがちょっと想像できなかったです。笑っていいのか笑っちゃいけないのかちょっとわからないです(笑)。
リバース:面白ーい。
── ただ、僕ら以外は笑ってると思いますけど・・・。
スコット & リバース:面白ーい(大笑)
── 日本のテレビに出演されたときに、曲はリバースが英語で作ってそれにスコットが歌詞をつけるって言ってましたよね?元の英語詩を忠実に訳したものなんですか?
スコット:ん~、そのまま訳したらストレート過ぎてそんなに面白くない歌詞になっちゃうから、リバースがこういうこと言ってるなっていうのを少しアレンジして・・・。
リバース:日本ぽく。
── これから4月に日本のバンドとのライブが予定されていますよね。日本のインディロックは歌詞がすごく過激なものとか、抽象的かつ意味深なものが多いです。『スコットとリバース』の歌詞はかなりシンプルなので、そういう日本のバンドたちとライブをやる事で何か変化が起こるのか、興味がありますね。例えばスコットとリバースの2作目はかなり過激な歌詞になっちゃってたりとか?
スコット:(考えて)どっちの方がいいと思う?
── ストレートなのはいいなって改めて思ったんですよ。でも過激にしなきゃいけないって世のバンドたちは思っている気がします。
リバース:カゲキってどういう意味?・・・漠然?
(ここまで通訳も辞書も一切使用せず、ここではじめて単語が出てこず辞書で調べている)
・・・エクストリーム・・・ふーん。
── 例えば歌詞に「SEX」とか「死ぬ」とか「うつ病」って出てくるような感じですね。
リバース:カゲキ。過激。
── PVなんかは子供向けのテレビ番組「みんなの歌」なんかで流れててもよさそうですよね。PV見たときキュンとして泣きそうになりました。
スコット:そう、みんなの歌。イエス。僕らは。泣きそうになったのは何で?
── 単純に歌詞がストレートなのとPVのストーリーですね。ピュアでいいなって・・・
リバース:そうですね。子供っぽい(笑)。
Scott & Rivers - HOMELY GIRL
── サウンドについてなんですけど、WEEZERのスタイルというか『Hurley』に近い音作りなのかなって感じます。お二人でそういう方向性を話し合ったりしたんですか?
リバース:無意識、いつも。神のみぞ知る(笑)。本当は毎日歌を作って、後で全部聴きました。いい作品を作りたかった。でも実はWEEZERファンの事はあまり考えませんでした。いい曲、いい作品ということだけ。
スコット:陰りがないようにポップスであってロックであってバラードもあって同期が入っているものもあって。
リバース:日本ですごく自由があります。ファンがたくさんのスタイルを受け取れるから。アメリカでたぶん無理です。いいスタイルだけ聴きたい。日本から自由もらいました。
スコット:日本の音楽ファンはいい音楽はいい音楽ってことで受け取ってくれるから。
── 日本では洋楽・邦楽ってクッキリ分かれているんですよね。そういう中でスコットとリバースはどちらにも行けるじゃないですか?でも「僕らは洋楽じゃないよ、邦楽です」って言っていて、ユニークだと思うんですけど、アメリカでの受け入れられ方ってどうですか?日本語で歌っている曲を聴いて俺もやってみたいとか言われたりしないですか?
スコット:俺もやりたいっていう人はいないけど(笑)。まあ特別じゃないですか。アメリカの友達で日本語しゃべれる人は全然いないので、だからやろうとしても出来ない。だけど、このアルバムは周りの友達に聴かせたらすごく評判がいいです。
── 歌詞がわからなくても?
スコット:そう、歌詞わからなくても。
── 日本って本当に色んな国から音楽が来ているので、すごくセクション分けがされているというか。メジャーはメジャー、インディはインディと売り場も分かれているんです。邦楽は邦楽、洋楽は洋楽と。でこの壁が意外に厚いんですよね。だから今回のスコットとリバースの担当の方は苦労されているんじゃないかと思います。本人たちは邦楽のところに置きたいのに、洋楽にされてしまうとか。
リバース:sound interesting。。。興味がアリマス。新しいセクション「スコリバ」セクションを作っちゃう・・・
一同:なるほど(笑)
── じゃあ、次のアーティストは「スコリバ」セクションでみたいな(笑)実際Scott & Riversの成功はこのセクションの壁をぶっ壊すんじゃないかな、と思っています。
リバース:実は日本人と結婚しています。だから、一生日本語を話します。それにミュージシャンだから一生音楽を作ります。だから一生日本語で音楽を作ります。だからそのうち日本の音楽ビジネスが私たちを理解すると思います。だからやめられません!
── うれしいです!
── 逆に僕らはTeenage FanclubやWEEZERに憧れてバンドはじめたような世代なのでみんな英語詞の曲を作ったりしてて。でもライブハウスの人とかに「なんで日本語で歌わないの?」って必ず言われたんですよね。日本人で英語詞のバンドとかを聴いてどう思いますか?
リバース:・・・あまり聴きません。ふつうは日本語の曲を聴きます。でも、楽しいです。日本のロックアーティストは英語で歌っていいと思います。
スコット:もしそういう海外のバンドに憧れてそういう感じのバンドがやりたいんだったらいいんじゃないかと思います。なんだけど、たまに変に英語しゃべれない人たちが悪い意味で変な英語で。何を言っているかわからない場合もある。それだったら日本語で書いた方がいいと思います。まあうちら外国人が日本語で歌ってるから何とも言えないけどね(笑)
── 本当に大きなビックバンだったんですよ。Teenage FanclubやWEEZERっていうのが僕らの周りに与えた影響は。で、インディレーベルがまだ少ない頃にそのビックバンによって下北沢とか渋谷とかで英語でロックをやるバンドやレーベルがたくさん増えたんですよね。でそういう人達ってナードというか、ちょっと尖った人達が多かったんで、「日本語で歌うなんてかっこ悪い」って。なのにその人達が今日本語で歌っているっていうのは一体どんな気持ちになっていいんだか・・・笑。
リバース:ドウモスミマセーン(笑)
──あの時、「日本語なんてダセーよ。WEEZERみたいなのやろうぜ。」って言ってたのに本人が日本語で歌っちゃってるんで、もうみんなどう思ってんだろうって。
リバース:(笑)エー 英語で「the grass is always greener」といいます。・・・いま私にとっては日本語がかっこいいです。
スコット:普段やっていないことをやると自然というか。そして新しい挑戦だと思います。
リバース:ああ、ありました(電子辞書でことわざを発見)。「隣の芝生は青い」。「隣の花は赤い」。
(一同爆笑)
(2)に続く
◆Scott & Riversジャパンツアー詳細
2013年4月4日(木) 渋谷CLUB QUATTRO
OPEN:18:00 START:19:00
ゲスト:モーモールルギャバン
ALL STANDING :4,500yen(tax in)
一般発売日:2013年3月10日(日)
2013年4月5日(金) 心斎橋Music Club JANUS
OPEN:18:00 START:19:00
ゲスト:つじあやの
ALL STANDING :4,500yen (tax in)
一般発売日:2013年3月10日(日)
TOTAL INFO. Livemasters Inc.03-6379-4744
http://livemasters.jp/scott-rivers
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Mar 23, 2013