【ライブレポート】FUN. at 新木場STUDIO COAST 2013.2.24
BLOW UP vol.2 feat. FUN.
「楽しんでる?ってぼくらの名前じゃないよ?君たちが、さ」と観衆をしきりに気にするNate。改めて客席を見渡すと見事なまでに客層の分かれた理想的なファン像に見えた。老若男女。黄色い声援、野太い野郎の歌声、全員の大合唱。「大丈夫、みんな楽しんでるよ」思わずつぶやきたくなった。もしかしてぼくらのリアクションが薄かったから?か、ついには「どうやら、フジロックに出演するみたいなんだ」なんて正式発表を前にして大ネタを投入してしまう始末。サービス精神旺盛すぎて逆に心配だ。でもこれには観衆も一番の拍手。
「What Am I The One」「All Alone」「it gets better 」「Carry On」と『Some Nights』からの曲が進むにつれ観衆の大合唱はどんどんそのレイヤーを厚くしていく。つくづく強力でアンセム揃いのアルバムを作ってくれたもんだ。皆と一緒に歌っていると過去、子供の頃「We are the world」を歌った時に感じたような多幸感、祝祭感を得ていることに気づく。あの頃は何も考えもせず世界は一つだと歌えたけれど、今僕が素直に共感できるのは「どうして僕は一人なの」なんて寂しい言葉だったり。でも、そんなFUN.のちょい情けない歌詞でも皆が声を合わせて大合唱した時に発生する熱量。それを感じる事が出来ただけで、冷めてしまったなんて責めがちな自分のことも、隣で終止気難しそうにしていたお姉さんのことも少し好きだと思えた。
アンコールはおまちかね、説明不要の大ヒット曲「We are young」、そして2012年一番美しく感じたオートチューン・ヴォーカル曲「Stars」で締めくくり惜しみない歓声と拍手が送られる中、幕を閉じた。
突っ走る訳でもなくオーディエンスが共有できる速度で感情を高ぶらせたNate。膨らんでいく周囲の期待や、バンドを取り巻く環境の変化がどれほどのものなのか想像できないけれど、今日のFUN.は良い意味でも悪い意味でも『Some Nights』で見せたスケールに比べて「まだ手が届きそうなパワーポップ・バンド」だった。終止不安定だったピッチも、予定調和になりきれないセットも、ちょっぴり背伸びしたかな?というストーンズのカバーも。ああ、なんだかこっちがちょっと安心してしまうくらいだ(最後の最後のアカペラにはずっこけてしまった(笑))。 前身のThe Formatから着実にキャリアを積んでいるとはいえ、まだまだこれからのヤングマン。ハチャメチャをしてとんでもない景色を見せて欲しい期待も、でもどこかこのままでいてほしい気もする。
伝説の続きはフジロックのステージで確認したい。お楽しみはこれからだ。
- セットリスト -
Out on the town
One Foot
All The Pretty Girls (aim & ignite)
What Am I The One
At Least I'm not as sad(as I used to be)
All Alone
It Gets Better
Barlights
All Alright
The Gambler
Carry on
We Are Young
You Can't Always Get What You Want (The Rolling Stones Cover)
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Some Nights
Stars
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Mar 6, 2013