【ライブレポート】FUN. at 新木場STUDIO COAST 2013.2.24
BLOW UP vol.2 feat. FUN.
昨年渋谷 duo MUSIC EXCHANGEで行われた初来日公演に続き、今回も各公演のチケットが続々ソールドアウト。グラミーでの2冠はあくまでもおまけとばかりに着々と日本で強固なファンベースを築いているFUN.は一気に舞台を大箱に移し新木場STUDIO COASTのステージに立った。
寒さの底ではないか、と言われたこの日。新木場に吹き荒れた強風もなんのその、会場に入りきれないほどパンパンに膨れたオーディエンスの熱気で開演直前にはじんわりと汗がにじむほどに。そんな我々の高まりをじらすかのように開演予定時間から20分ほどが経過。ようやくイントロ・ミュージックと共にメンバー3人が登場すると歓声を通り越して絶叫に近い大歓声があがる。
オープニングはなんとアルバム『Some Nights』ではボーナストラックとして収録された「Out on the town」。
音源では、王国プライド・ランドが眼前に広がってくように壮大なキーボードとヒップホップ・ビートのコンビネーションが素晴らしかったけれど、正直なぜこの曲から?と思った人は少なくないはず。ただこの曲、ライブでは熱すぎず冷めすぎずで、そのシアトリカルなサウンドはライブの序章にピッタリだったのだ。バンド、オーディエンス両者にとってちょうどいいスターターだったと後からナルホド。最近のショウでは必ずこの曲からスタートしているようだ。とはいえ、ちょっと肩すかしを食らったファンは続く「One Foot」のイントロが鳴ると「ここだ」とばかりに前方に押し寄せ再び大歓声をあげた。畳み掛けるNateの「TOKYO!! Put Your Hands Up!」で一斉に何千の腕が呼応すると会場のボルテージは一気に最高潮へ。この曲が持つシンプルな「オッオ・オー」というかけ声はオーディエンスを一つにするのに時間はかからなかった。横に縦にと、みるみる一体感が広がっていく。
Nateのハイトーン・ヴォーカルはQUEENのFreddie Mercuryを連想させる伸びやかさで、STUDIO COAST中のオーディエンスを貫く。インタビューでたびたび「日本ではやたらQUEENと比較されるのが不思議だよ」と語っているのを見たが、あの声と、誰もが歌えるキャッチーで美しいメロディー、そして拳を高らかに突き上げるパフォーマンスにはFreddieのソレと姿を重ねずにはいられない。そしてこの日Nateが着ていた黒のレザー・ジャケットからは全米1位となった「We are young」をさかのぼること33年、奇しくもQUEENが初めて全米1位を獲得したシングル「Crazy Little Thing Called Love」のジャケット写真(全員レザー・ジャケット着用)を思い出さずにはいられなかった。そういえばこの日の「One Foot」は曲といい、盛り上がりといい「Crazy Little Thing Called Love」のB面「We Will Rock You」ライブ・ヴァージョンみたいじゃないか!(笑)
一瞬の静寂の後、前作『Aim & Ignite』から「All The Pretty Girls 」。ああ、バンドがメジャーなプロデューサーを付けようが、ヒップホップと融合しようが、どの次元に向かおうとしていようが僕らにとって『Aim & Ignite』が最強のパワーポップ・アルバムだったことに変わりはない。今回はほかに「At Least I'm not as sad(as I used to be)」と「The Gambler」「Barlights」と計4曲を演奏。いれずも起伏に富み「Some Nights」収録の楽曲とも相性が良い曲ではあるが、欲を言えば「Be Calm」を今のFUN.がどう料理するのかを見たかった。Nateのヴォーカリストとしての才能とFUN.というバンドそのものが、今後心のど真ん中に位置するバンドになっていくんじゃないかという予感させた曲。まるで1994年のWeezerがそうだったように。
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Mar 6, 2013