【ライブレポート】Motion City Soundtrack at 梅田CLUB QUATTRO 2013.2.19 <PART1>
JAPAN TOUR 2013 ライブレポート
昨年に新作となる5枚目のフルアルバム『Go』をリリースし、ASIAN KUNG-FU GENERATIONが主催する邦楽ファンと洋楽ファンの架け橋となるNANO-MUGEN Fes.12に出演するなど、これまでよりもさらに日本のファンを獲得してきた、ナードでエモーショナルなパワーポップ・バンド、Motion City Soundtrack。そんな彼らが、3年ぶりの単独来日ツアーでやってきた!
単独公演の日程は東名阪の中規模のライブハウスを舞台に展開され、名古屋→大阪→東京と3日連続で回るという少々ハードなものだったが、Twitterなどで各地のオーディエンスから公演後に聞こえてきた声のほとんどは、そんなハードなスケジュールを感じさせない、いつも通りか、それ以上にパワフルでファンシーになった彼らのステージへの賞賛だった。
本文終盤でも述べることになるが、今回のツアーは終演後にメンバーとオーディエンスとが触れ合う時間が存分に設けられ、これまでの彼らのショーの醍醐味でもあった、彼らからは日本のファンへの愛を、日本のファンからは彼らへの愛を、お互いキャッチボールのように投げかける彼らならではのライブが、さらにアットホームな雰囲気で行われた。しかも、そんな彼らとオーディエンスの熱気の最中で、パワフルなだけでなく、自分の内のどこかから溢れる情念にも似たセンチメンタルな感情にハッと気付かされるような、滲みよる憂愁の感覚さえも覚える多角的なステージになっていた。
今回、僕は2日目にあたる2月19日の大阪公演、梅田club Quattroでのショーを観る機会に恵まれた。その模様をレポートさせていただきたい。
開場からWeezer「Tired Of Sex」やBlur「Song 2」などのBGMが、会場のフロアで流れている。集まってきたオーディエンスの皆さんの横顔を見るだけで期待はもちろん、まだ姿さえ現していない彼らへの愛情が伝わってくるように、ある人は笑顔でファン同士談笑し合い、ある人は真剣な目線でジッとステージを見つめている。そんな光景を目にして自分も期待の思いが高まっていく。さらに会場を見渡すと、NANO-MUGEN FesのTシャツを着ているファンも何人か見られる。昨年のNANO-MUGENでの新たなファンを獲得したことの確かな証だろうか、などと考えていると開演予定時刻の19時を15分ほど過ぎたところで消灯。
ゆらりとメンバーがステージに現れる。スッとフロントマンのJustin Pierreの吸い込む息がマイクを通して伝わると、同時に小気味良いギターの響きとともにJustinが歌い出す。「Attractive Today」だ。開演早々、Justinの美声とTony Thaxtonの刻むパワフルかつタイトなリズムが会場中に鳴り響く。間奏では、Tonyのドラミングと共にオーディエンスもハンドクラップで彼らを迎え入れる。歌い終わったJustinが元気よく、日本語で「ありがとうございます!」と一言。前回のNANO-MUGEN Fes.での彼らのステージのライヴレポや、『Go』のレヴューでも触れていたが、彼らは4thアルバム『My Dinosaur Life』からの2ndシングルでは”僕は日本語を勉強してるんだ!”なんて歌っちゃうくらいの大の親日バンド(『My Dinosaur Life』の他の曲中では、「カラオケ」や「カミカゼ」、「10000円」なんて言葉まで飛び出してくる)!
早速、日本語で感謝の意を伝えてくれたかと思うと、間髪入れずに先の『My Dinosaur Life』からの2ndシングルである「Her Words Destroyed My Planet」へ。Aメロを歌い終えたあとに、続くメロでベースのMatthew TaylorとリードギターのJoshua Cainがノイジーなギターのフレーズをなぞるように、力強くコーラスで歌ったかと思うと、弾けるようなサビでもMatthewはコーラスを続け、Justinのヴォーカルと奏でるハーモニーがセンシティヴな空間を演出する。かと思いきやキーボードのJesse Johnsonは間奏でカウベルを一心不乱に叩きまくっている。オーディエンスも、のっけからのパワフルなステージングにハンドクラップの波が収まらない。
曲が終わるとJustinの短い英語でのMC。「昨日の公演も来てくれた人は何人くらいいるかな(と言いながら会場を見渡す)?何人かいるね。今日も精一杯、演って行くから楽しんでいってね!」
そんなMCに後押しされるかのように、「My Favorite Accident」が続く。ステージは一転して(「My Favorite Accident」収録アルバムの1st『I Am The Movie』のジャケットのような)、赤い照明に照らされ、タイトなバンドアンサンブルが心地良く、間奏にいたるまでにJustinは歌に集中するかのようにギタープレイをJoshuaに任せ、Matthewがそれを補うかのように、”skin, skin please let me in!”とシャウトする、そんな光景に思わず身を委ねたくなる。
Epitaph / Ada (2012-06-12)
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Feb 21, 2013