【VIDEO OF THE DAY】フジファブリック "徒然モノクローム/Small World"
from Voyage
日本の名ギターロックバンド、フジファブリックが近年、そのサウンドにパワーポップからのエッセンスを大々的に取り上げていることで話題を集めている。フジファブリックは、09年のクリスマスイヴに、ポップでキャッチー、さらにどこかから滲み出る変わったフェティシズムやエロティックな感性を感じさせながらも、センチメンタルな感情を情景の滲む景色と共に素朴な歌声と繊細な日本語で綴る詞で彩ってきたフロントマン、志村正彦が原因不明の亡くなられたというショッキングなアナウンスがなされていた。
志村という一人の邦楽ロックの才能の夭折は、シーンにもあまりに大きな影響を与えたが、残された3人のメンバーは、志村の遺志を引き継ぎ、フジファブリックとしての活動を続けることを発表。以降、それまではギター・コーラスであった山内総一郎をフロントマンとなって、精力的に活動を継続しており、失速することなくさらに支持を集めている。
今回、紹介させていただくのは、そんな3人体制となった彼らの近年のシングル、「徒然モノクローム」と「Small World」のMVである。どちらも作詞をベースの加藤慎一、作曲を山内総一郎が手がけており、前者は『つり球』、後者は『宇宙兄弟』とTVアニメのタイアップを受けている。
どちらもイントロから溢れ出るパワフルなギターと金澤ダイスケ鳴らすくすぐったいシンセサイザーの絡みがとってもキュートでキャッチーだ。また清涼感のある山内のヴォーカルが紡ぎ出されるメロディの上で、これまたくすぐったいような青い歌を聴かせてくれる。
最初にフジファブリックは「近年」、パワーポップのエッセンスを大々的に取り上げていると書いたが、実はこのパワーポップセンスは実質的に志村が全面で参加した最後であり、スウェーデンのストックホルムで(The Merrymakersの所有するスタジオ)レコーディングされたアルバム、『CHRONICLE』でもかなり見られていた(改めて聴き返してもThe Trampolinesのようなスウェディッシュ・パワーポップのエッセンスが感じられる傑作である)。
今回紹介させていただいた2曲もそのパワーポップをさらに熟成させたような、彩りが感じられる。フジファブリックはこの2曲と「Light Flight」というシングルを引っさげて、ニューアルバム『VOYAGER』を3月6日にリリースするというアナウンスがなされている。アルバムの方ではどんなポップな世界を見せてくれるだろうか。期待しながら待ちたい。
なお、「徒然モノクローム」はリリース済みで、「Small World」は2月6日にリリース予定だ。
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Jan 20, 2013