【INTERVIEW】「個人的にもっといろいろな音楽を聴いて、よいものを取り入れたい」 The Selectionz インタビュー
『First Selection』
ファースト・アルバム『First Selection』が好調なガールズ・パワーポップパンクバンド、The Selectionz。新人ながらFIFI (FIRESTARTER)から「クラッシュとポインテッド・スティックスを従えたストロベリースイッチブレイド」と形容されるなど周りからも愛される存在の彼女たち。作曲の全てを手がけるKozueにインタビューを敢行した。
─── まずはファーストアルバム発売おめでとうございます。
ありがとうございます
─── 水戸で結成ということですが、、水戸にはポップパンクのシーンが結構あるとききました。
はい。THE NOVICEとかDIALSとか。70sパンク系、オリジナル・パワーポップという感じですね。
─── 先輩後輩とか結構ありますか?
いや、そんなにはないですね。ただレコード・ショップのRecord KNOXを中心としたシーンですね。
─── 結成の経緯をお願いいたします。
もともとは一人で趣味的な感じで始めました。その頃は日曜とかもなにして遊ぼう?みたいな感じだったので「じゃMTRの安いのでも買って録音でもして遊んでみるか」と。そういう作業が楽しかったり好きだったりもあって没頭しているうちになんだかいいなぁと思えるものが出来てき始めて。でちょうど結婚式を迎える友達がいたのでその子のために1曲書いてプレゼントしようかなと。ま、勝手になんですけど(笑)。そこで、まぁ(作品として)固まったかなぁと思ったので近所のRecord KNOXの橋本くんに作品を置いてもらおうとサンプルとして持っていったのをきっかけに、ポップ好きな友達がいろいろな所に音を送ってくれたりしたこともあり、正式にThe Selectionzとしてスタートをきりました。
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─── デモのときにも資料を拝見してはいたのですが本当に宅録、というか一人でスタートしたのですね?
はい。本当に軽い気持ちではじめました(笑)
─── ちなみに現在も作詞作曲などは全部Kozueさんが担当されているのですか?曲の作り方についても教えてください。
そうですね。私がやっています。
宅録で一回すべて作ってしまいます。わたし、とりあえず一回音にしたくなるんです。あと、音の組み合わせとかも雰囲気とかガラッと変わってしまうので、何にせよまず自分で音を入れてみますね。ま、ダメなのがほとんどなんですけど(笑)
バンドに持っていってからもその場のノリでやるはやるんですけど、基本的には演奏とか音とかを自分で作ったものを教えて弾いてもらってます。フレーズとかも全部。
─── メンバーさんとの出会いは?
ちょっとバンドでやってみたら?って周りから言われる事も多くなってきて。で「そっか、たしかにバンドもやってみたいなぁ」と思い始めたんです。それでまず一番最初にドラムのカツヤ(Katsuya)に声をかけたんです。元々ハードコアとかが好きで彼と一緒にそういうバンドをやっていたことがあったので、(彼が)いろいろな音楽を聴くということもあってお願いしてみたらやってくれることになったんです。その後、あまり弾けなかったんですけど家が近い事もあってベースの石川くん(Jun)に声をかけてみたらすんなりやってくれることになりました。今ではすっかりウマくなってビックリしているんですが(笑) 最近は褒めまくっています。ベースラインもいいし、音感もいいし、この間彼に言ったんですよ「今後とも宜しくね!」って。REC前と後では別人のようです。
─── ちなみに何年前くらいの話ですか?
2年前くらいからの話です。カツヤと石川くんはすぐ一緒にやることになって、ayaちゃんは半年後くらいかな。そもそも(aya加入前は)このままでいっかみたいな感じでスタジオに入っていたんで。もう一人ギターがいたので、ギターが抜けたタイミングでキーボード入れてみようか?とayaちゃんに声をかけました。
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─── 本当に最近のバンドなんですね。
はい。
─── 『Pop Punk Mania Japan』の誘いがあったのは?
2011年の夏前くらいですかね?
─── きっかけは?
友達のGrill ChickensのGu.Voのしうっちゃん(shiu Chicken)がPrivate Mail Recordsのエバタくんと仲が良くて。で、K.O.G.A. RECORDSのスタッフのMelimeくんのバンド、MirweltsはPrivate Mail Recordsからリリースしている事もあり、その繋がりで。
─── 反響はどうでした?初の公式音源ということですよね?
はい、そうですね。デモは水戸のrecord KNOXをはじめ、都内だとdisk unionやBaseなどにも置いてはいましたが。先日からデモのコンプリート盤をアカデミーで置かせてもらってます。
反響はですね、あんなにたくさんの良いバンドがいる中で意外にガールズ・ヴォーカルものが少なかったというのもあって、オッて思ってもらえたのかなと。
なにより一番釣れたのがうちの(K.O.G.A.の)社長だったという(笑)
─── それは一番の反響ですね。あとでK.O.G.A.との出会いをお聞きしようと思っていたのですが、先に出会っちゃいましたね(笑)
Melimeさんの話だと候補というか、コンピの音源を集めている段階ですでに気に入ってもらっていたようで。で、あがってきた録りたての音源を聴いてもらってさらに良いと思ってくれたみたいです。
─── やはりその曲にかける意気込みは強かった?
そうですね、というよりは新しい曲にもちょうどチャレンジしたかったので。
─── 良いきっかけだったと?
そうですね。
─── 実は記事を書く時についつい”セレクション”という言葉をバンド名にかけて使いたくなってしまうのです(笑)もちろん肯定的な意味でなんですが、バンド名の由来が実は「大好きなパンクバンドのフレーズだったり、コード進行だったりそういうものをセレクトしちゃえ・・」というところから来ているんじゃないか?なんて想像しまったのですが?実際のところはどうなんでしょうか?
(笑)実際は・・その友達にプレゼントした「Wedding」という曲があったじゃないですか。で、結婚式ってカタログギフトがあるじゃないですか?あの選べるやつ。バンド名どうしようかな〜って思ってるときに「あ、カタログ・・なんとかセレクション・・セレクションズでいいか〜」みたいな(笑)
でも「Wedding」の元ネタというか、曲そのものの原点はThe Clicksですね。元々The Clicksに憧れて作った曲、作ったバンドですから。(The Clicksのベースの)ちはるちゃんがデモテープを届けてくれて。多分K.O.G.A.からリリースする前ですね。それでなんかガールズ・バンドに興味を持って。そのときにやっていたのはハードコア・バンドだったんですけど、ポップなものもいいなぁって。で、The Clicksがドラムを募集していたんです。それですっごくメンバーとして入りたくなってドラムを習いはじめたんですよね。8ビートができるようになってあっさり諦めたんですけどね(笑)実際ちはるちゃんに「入りたい」ってお手紙も書きましたから。
─── 昔はデモテープに自宅の住所とか書いてありましたからね。
ちはるちゃんからお返事も来たんですよ。デモテープも一緒に入れてくれて。「わー!ちょ〜かわいい」って思って、さらにそれ聴いたらもう本当に感動して「かっこいい、こういうのやりたい!!」って。で、まず最初のオリジナル曲作るってなったらまぁ同じようなものになるじゃないですか。それで出来たのが「Wedding」なんです。The Clicksの「I don't mind」って曲が大好きで(ミニアルバム『Come to vivid girl's room!』に収録)。
─── そういう歴史も含めてK.O.G.A.は良いレーベルですね。音の系譜と言いますか。Pelotanもそうですが、他にK.O.G.A.のバンドで親しかったり尊敬しているバンドはいますか?
ayaちゃんは初期のパワーポップ・ギターポップ系、、NUDGE'EM ALL、THE PLAYMATES、Treeberrys、RON RON CLOUしかりその辺が大好きですね。今日来ていたらその話でかなり盛り上がっちゃってたと思います。あとはROCKBOTTOMの稲垣さんにもすごくお世話になってますね。この間もライブ見に来てくれて。
─── ちなみに仲のよいバンドはやっぱり70s周りのパンクやオリジナル・パワーポップバンドが多いですか?
というよりは単純に『Pop Punk Mania Japan』収録のバンドが多いですかね。ここもayaちゃんは仲いいかな。彼女自身がDJをやっていることもあってそういう知り合いがすごく多いんですよ。以前中央線に住んでいた事もあるし、ライブハウスやレコードショップ界隈にいたということも影響しているかもしれません。
FIFIさんのコメントにはTEENGENERATEの時からFIRESTARTERまで活動を追っているayaちゃんが一番興奮していましたね。コメントに関しても、K.O.G.A.のスタッフがFIFIさんの店に行ったときにFIFIさんから「The Selectionz出すんだって?」と声かけてきてくれたそうで。その流れでいただけたようです。
─── The Selectionzは歌詞を公開していませんが、どんなことを歌った楽曲が多いんでしょう?友達の結婚をお祝いした「Wedding」のようにハッピーな曲が多い?
暗い曲なんかもありますね
─── 全曲解説お願いいたします(笑)
「Dream of Ice Cream」
これは夢の話なんです。文字通りアイスクリームの夢。わたし、食いしん坊なんで。アイスクリームを食べたくなって、学校を抜け出しちゃった!みたいな歌です。
─── 最初、少年ナイフの「アイスクリーム好き」へのアンサーというかオマージュかなぁと思ったんです。こういうキーワードをポップでパンキッシュな歌にのせる事をアリにしたバンドだとも思うので。実際ドリームやアイスクリームってポップソングにとても相性がいい言葉だなぁと。
それはなかったですね(笑)でも、ポップパンク的な感覚で曲も歌詞も書いているというのはあると思います。雰囲気的にはニッキー&ザ・コルベッツ風というか。ドライヴしながら適当に鼻歌を歌っていたら出てきました。メロディーはいつもそうやって出てくる事が多いです。
「Contrary Girl」
結構鬱な曲。みんなに会いたくないって気持ちのときに書いた曲です。ちょっともう独りになりたい!と。自暴自棄というか、もう何も知らない、あたしは独りでいいんだ。って。社長曰く「アルバムの中で一番キャッチーな曲」とのことです。
「With You Under The Star Tonight」これはメンバーのayaちゃんと一緒に、次はどんな感じにしようか?って考えているときに「じゃTonight系でいこうか!」と酒のノリで決めちゃった曲です。
─── Tonightありきの曲ってことですね?
「A Key with Magic Ribbon」
これはブリッ子な曲です。女の子を意識した曲です。自分がってわけではないんですけど、(女の子って)リボンとか好きなんで。そういう歌詞を一度入れてみたかったんです。
「Blue Hawaii」
意味的にはちょっとひねくれた内容の歌詞なんですけど。なんか、家帰らないから!っていう家出の曲なんです。海に独りで行くからもうついてこないでね、みたいな曲です。
─── 「Marble Chocolate」はタイトルにしても、曲の雰囲気やメロディーにしても似てるというよりすごく少年ナイフ的だなとじたんですが?
これは少年ナイフを意識した、というか出来上がったらすごく少年ナイフからの影響を受けたテイストの曲になりました。あと8ビートでカッチリ作りたかった。
─── この曲で特に感じたのですけれど、The Selectionzの場合全編英語詞ですが、少年ナイフだったら日本語詞も混ざっていたりするじゃないですか。将来的にそういうミックスがあったりするんですか?
あ、それは一時期ちょっとやってみようかなとは思いました。1曲だけというより全体的に。
─── なるほど。チョコレートとかアイスクリームとか僕らも日本語としても聞き慣れている言葉だったりもして、(内容を)想像して楽しい部分ももちろんあるんですけれど、やっぱり歌詞の続きを直接的に知りたくなっちゃいますね。
1曲作ったの家にありますよ(笑)公開は絶対にしませんけど恥ずかしいので。
日本語詞についてはそのまま、直で聞きやすいし、意味がストレートに伝わってしまうのでそういう意味では大変だなぁと思ってはいます。
まぁ単純に英語の発音がカッコイイかなと。
─── 日本語詞を自分でやるならあんな感じになれたらいいな、というバンドはあったりしますか?
ジッタリンジンみたいになったらいいな
─── あー
ちょっとスカっぽいフレーズとか入れたらもう(笑)
「Sunday」
録音のときすごく面白かったです。オフザケで。最後ずっとふざけながらハンドクラップ録音してて。実はThe Clashの「Capital radio」みたいなのを作りたかったんです。リズムだけ。
「Please realize me 」
ひとりぼっちで窓から夜の星を見ながら、願いが叶ったらいいなとゆう気持ちでいたら自然とメロディーが出てきました!
「Holiday」
”あなたのいない日曜日は日曜日じゃない!!”そんな寂しい気持ちを歌った曲です。
─── リリースでいろいろプロモーションや聴いた人のフィードバックを聞くにつけ欲みたいなものは出ましたか?
曲、というかネタはもう毎日のように出来ています。それをまとめたくてしょうがないんですよね。ますます楽しくなっています。
7inch出したいな〜とは思ってます。新曲で。社長に向けて言うだけは言わせてください(笑)
あとはまず多くの人にSelectionzの音を聴いてほしいですね。知ってもらってライブにも来てもらってですかね。
あと、ちょっとあまりわたし音楽の知識ってのが実はないんですよ。誰の曲か、とか。なので、個人的にももっといろいろな音楽を聴いて、よいものを取り入れたいって思います。そして、満足のいくような曲を作っていきたいですね。最近はDELTONESが大好きなんですよ。スカじゃないんですけどまた違った種類のもので、わたし飽きっぽいのもあって一つにとらわれずに色々曲に吸収していきたいです。
─── 次回作はまだまだどんな音になるかわかりませんね。
自分の精神状態も比例してね
『First Selection』
KOCA-73 / included 10 songs / ¥1,785(in tax)
1. Dream of Ice cream
2. Contrary Girl
3. With You Under the Star Tonight
4. A Key with Magic Ribbon
5. Blue Hawaii
6. Marble Chocolate
7. Sunday
8. Please realize me
9. The Wedding
10. Holiday
購入特典:DJ/キーボード・Ayaによるオリジナル・パワーポップの鉄板MIX CD『Ayaed By Death』
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Sep 27, 2012