【FEATURE】「サニチャーとプレイメイツの夜」吉野桃子VS山本聖 共演記念スペシャル対談(4)
「演奏者がちゃんと爆発してて見る方も真剣に向き合えば、チケット代なんてとんでもないくらいの体験ができる」
90年代にアノラック再興ムーヴメント「レイトアノラック」の中心人物として一世を風靡したヨシノモモコ率いるSunnycharと山本聖率いるThe Playmatesとが16年振りの共演するポップファンには信じられないようなイベント「サニチャーとプレイメイツの夜」(すでにSOLD OUT)。POWERPOP ACADEMYでは開催を記念してダメモトでリーダー2人の関係を紐解くべく対談をオファー!なんと、2時間を超えるロング対談が実現してしまいました。リスナーにとっては衝撃の事実が出るわ出るわのビックリ対談(4)お楽しみください。
桃子:今んとこ、その知らない人の前でやってるとだいたい言われるもんね。「声が一緒だ」って。だから男女でやってるけど・・・
聖:うん、たぶんね。男女っぽく聴こえへんのよね。
桃子:おんなじ声で。自分が宅録とかで多重録音してるのに近いんだけど、決して自分でオーバーダブしてるんでは出せない感じ。ほんとに似てて、だけどおんなじじゃない。
聖:自分で録音したやつ聴いてても不気味やもん(笑)。
桃子:怖いよね(笑)。
聖:どっちを自分が歌ってるかわからへんもん。
桃子:現実的なこといっても、聖くんは男の人にしては声が高くって、私は女にしてはトーンが低いのでちょうどまあキーも同じ感じになるんだけど、そういうだけではない・・・。
聖:ないねぇ。
桃子:自分で聴いててどっちが自分の声かわからない。
聖:どこまでが自分の声か全然分からへん。
桃子:ちょっとホラー入ってる(笑)。
聖:最初録音した時びっくりしたもん。「え、こんなんなるのー?」って。
POWERPOP ACADEMY/藤澤:
それは8月18日は僕らは体感できるんですか?
聖:どうでしょうね?やっぱりその日はバンドでやるんでしょうね。別に二人でやってもいいけど。
桃子:やってもいいけど、どのタイミングでやるんだろうね。
聖:前座か、セッティング中か(笑)。
桃子:終わってからやろっか。
聖:終わってからでもいいね。どこでよ?外?井の頭公園?(笑)
桃子:ガード下とか(笑)。
聖:ちょっと考える?盛り込んでも面白いかもね。
POWERPOP ACADEMY/藤澤:
じゃあそのへんのプランは今までは考えてなかったんですね?
桃子:考えてなかった・・・。でも一か月くらいしかないんだよね?
聖:ていうか、曲作ろうとか言ってたよ。
桃子:聖くんがね(笑)。
聖:(笑)。あなたに向けてね。一応言ったから。
桃子:やるやるやる(笑)。
POWERPOP ACADEMY/藤澤:
完全に合同練習してるくらいかと思ってました。
聖:やろうよ、じゃあ。
桃子:でも、すぐできるんですよ。一緒に歌うようになってから・・・。
聖:だって(桃子さんが)作ってきたらむかつくからこっちも作り返すんよね。
桃子:だって、私が一曲作ったらねぇ。
聖:「何それ?なにいい曲作ってんの?!」みたいな(笑)。
桃子:そしたら2,3曲なんか一気に送られてきて(笑)。でも、私はやっぱり曲作りが変わってきました。二人で歌うって想定すると。
聖:俺、「自分で作った曲か?」っていうようなしっくり感があるよ。
桃子:私、いっぱいバンドやってきたから、そのバンドのその人たちで演奏するなら・・・っていう風に作ってた感覚はあったんですよ。提供する側っていうか、専属作曲者っていうか。だからやっと「自分がただ歌う曲を作る」っていう風になって。だから今までバンドでやってた曲は弾き語りとかもほとんどしたことがなくて。ギターとかも真剣にやってなかったから、自分の曲なのに全然弾けない曲いっぱいあったりして。でも最近は全部自分で弾けるように・・・(聖さんを見ながら)まあ弾けませんけど(笑)。っていう感じで作るようになりました。
聖:うん、でもだいぶ弾けるようになった。
桃子:聖くんの作る曲がコードがチマチマしてて(笑)。覚えられないんです。もうちょっと簡単な曲を作ってください。
聖:なんか押さえてるんだか押さえてないんだかみたいな。
桃子:面白いですね。すっごい刺激的な。
POWERPOP ACADEMY/オサム:
そうやって全然知らない人たちの前でやって、チケットもすぐ売れちゃうし。当時お二人を好きだった当時のファンに対してはどう思われますか?
桃子:私は今の状態っていうか、私がパンってやって出たものを聴いてもらうしかないし。それでなんか感じてもらえればいいし、感じなくてもいいし(笑)。ま、でも当時あれだけ避けてたプレイメイツと対バンできるっていうのはすごい・・・。
聖:まぁ、避けられてましたけど(笑)。
桃子:それはエンジョイしたいけど、お客さんはまあ好きに過ごしてもらえれば。
POWERPOP ACADEMY/オサム:
最近、でもロンロンクルーも一時復活してて、昔すごい好きだったバンドがすごく久しぶりにやるっていうのはお客さんの集まり方ってやっぱり「再結成だから見るしかないっしょ」っていうノリですけど、そういうのとはちょっと違うっていうか。
桃子:そうですね。再結成とは違う。でもその体でもいいですけど。でも予習はあんまりして欲しくないかなぁ。しないと落ち着かない人はしてもらってもいいんですけど、あんまり予習しない方が楽しめるっていうか。ギアをニュートラルにっていうか。
聖:あんまりね、昔のを期待されてもねぇ。やっぱり全然違うからね。
桃子:普通に年取ってるから。単純に声変わりもしてるし。普通に年老いてるから・・・。
聖:単純におっさんノリになってるしね。
桃子:実際Sunnycharとかやってたのは20代前半だし。
POWERPOP ACADEMY/藤澤:
あれ、10代じゃないんでしたっけ?
桃子:一番最初は10代かもしれないけど。曲を作り始めたのは10代で、録音物はちょうど20歳ぐらいかなぁ・・。声とかも単純に違うし。だって、「お前ら38になって20歳の時と同じことできるか?!」って言いたいです!!(笑)。そこは無理だし。
POWERPOP ACADEMY/藤澤:
だってねぇ、当時は衝動的なものが、はじけてますもんね。
桃子:私思うんですけど、録音物ってほんとはただの記録で、その都度その都度生演奏するのが基本っていうか。昔はレコーディング技術がない頃はみんなその場で演奏してみんなの心の中に入れ込んでたみたいな(笑)。それがラジオとかでかけてもっと広い範囲の、その場に居なかった人でも聴けるようにっていうのでどんどんレコードにするようになって。でも最初は一人一人で所有とかはしていなくって、代表者のラジオ局とかが盤を持っててみんなの分かけてくれてたのが、だんだん個人で所有するようになってみたいな。そうやってみんなが所有できるようになると、みんな家で繰り返し聴いてるから「この曲はこういうものだ」って限定しちゃうっていうか。それが完成形ってなっちゃうけど、曲ってそういうもんじゃなくて、それはたまたまレコーディングしたその時に出たものに過ぎなくて。それはその曲の可能性が無限にある中の一つにしか過ぎなくて。それがその曲のすべてかっていうと全然違う。演奏するたびに全然違うものを表現できる、ていうかしようと思わなくても曲ってそういうもんだと思うから。
聖:それ再現するだけやとレコード聴いとけよって話やもんね。
桃子:そうそう、そうなるとライブの意味が全然なくって。だけどみんなそれが癖になっちゃって、毎日繰り返し聴く弊害というか、刷り込みみたいなもんで。どうしてもそうなってきちゃうけど。
POWERPOP ACADEMY/藤澤:
そうそう、なんであんなに(アレンジを)変えちゃうんだよって言ったことありますもん。
桃子:そうそう。でもその気持ちもすごくわかるんだけど、意図的に変えるとかはまた違うんだけど、同じアレンジでやったとしてもたぶん・・・
聖:うん。「コピーをやっている」って気持ちやと、それしか伝わらへん。でもこの曲を心を込めて真剣に演奏したとしたら、それは全然違う。
桃子:曲を取り込んでなんか発するって作業をすれば、それはその時のその人の体調によってもその場の空気もそうだし、いる人たちのバイブレーションによっても全然変わってくる。
聖:毎日やってても絶対違うし。
桃子:今、聖くんとやってるデュオはそれがほんとに感じられるっていうか。ダイレクトじゃないですか。二人しかいないし、楽器少ないし。毎回ね、おんなじ結果が出ないから。
聖:出ないね。
桃子:でもバンドでやっててもほんとはそうだよね。
聖:そうそう。
桃子:だからコピーしていくっていうか、量産みたいなことじゃなくて。ライブはそこを楽しまないと。私がレコードコレクターじゃないのはそこで、一期一会っていうか。ライブって、演奏者がちゃんと爆発してて見る方も真剣に向き合えば、チケット代なんてとんでもないくらいの体験ができると私は思っています。
聖:レコードに関していうとね(笑)。プレスとかによっても全然ちゃうんですよ。再発とオリジナルとでは全然違うからね。
桃子:はいはい(笑)。全然どうでもいい話ですけど、でもわかりますよ。レコードを否定している訳ではないですよ。
POWERPOP ACADEMY/藤澤:
そこまで言い切れるっていうのはすごいですね。みんなどうしても縛られてるっていうか。
桃子:私、日本のライブハウスで一番気になるのはそこで。すっごいみんな設定が大きいっていうか。会社にいるみたい。サラリーマンぽくないですか?みんなやること決まってるしリハーサルもきちんとしてるし。
聖:一番わからんのが、レコードですでに曲のアレンジが決まってる曲をわざわざスタジオ入って演奏する、練習するっていうのが。あの姿勢がわからない(笑)。
桃子:わかる。演奏するたびに毎回バーンて試してみてるんだったら、スタジオで何回もやる意味はわかるんだけど。
聖:でもそれってできる曲よね?なんでもっかいやるって。
桃子:私も練習がほんとにきらいなの。
POWERPOP ACADEMY/オサム:
それはテクニックがあるから・・・。
桃子:私は無いっすよ(笑)。
POWERPOP ACADEMY/オサム:
だって、総帥ってレコーディングってほとんど一発録りでしょ?
聖:スタジオも入らへんもん。だって今年Clandestine今年2回しか入ってないもん。
POWERPOP ACADEMY/オサム:
すごいなぁ。
聖:めちゃくちゃ嫌いなんじゃないかな。リハーサル。
POWERPOP ACADEMY/オサム:
だって、プレイメイツが関東と関西に分かれて住んでるときなんかライブやるって集まっていきなり出来てたもんね。練習なしで。
聖:余裕でやってたよね。新曲があるときくらいしか、僕はいらないと思ってる。他の人はそうは思ってないかもしれないけど。
POWERPOP ACADEMY/オサム:
それゆえのライブの新鮮味っていうか。
聖:そう、それが薄れちゃうのがね。嫌で。
POWERPOP ACADEMY/藤澤:
日本の今のコアとかパンクとかって対極にいるじゃないですか。なんかパンクなのに週3回4回練習してて。
桃子:わかる。ほんとそう。みんなすごい律儀なのよね。みんなすごい真面目だと思いますよ。
POWERPOP ACADEMY/藤澤:
みんなまじめすぎるくらいまじめでけんかの内容とかもそれが多い。
桃子:私それは、当時バンドやってた時からみんなまじめだなぁって。私ほんっと不真面目なんですよ。みんなえらいなぁって。
POWERPOP ACADEMY/藤澤:
それは自分が不真面目なんじゃなくて、ほんとはそうじゃないんだろって?
桃子:いや違います、私が不真面目なんです(笑)。
(5)に続く
本ライブに関する情報をまとめたオープンソースblog「サニチャーとプレイメイツの夜」ソースblogが立ち上がっており、前売り券販売方法や公式ブート版チラシ、まとめサイトの作成者募集情報などが投稿されている。
8/18(土)吉祥寺Warp
「サニチャーとプレイメイツの夜」
18:30開場/19:00開演
出演:Sunnychar / The Playmates
チケット:前売り1500円/当日1800円(ドリンク代別途)
◎Warpのwebサイト
http://warp.rinky.info/
◎アクセス
http://warp.rinky.info/map.html
The Automatics/THE PLAYMATES at THISTIME ONLINESTORE
1
Aug 15, 2012