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Jim Boogia

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【INTERVIEW】「失敗する可能性もある事に挑戦するのが大好きなんだ」Jim Boggia 来日直前ロング・インタビュー

数年前からライブのセットリストを用意するのをやめたんだ

こんにちは、POWERPOP ACADEMYのライナーでおなじみ学長のオサムです。
皆様いかがお過ごしでしょうか?
今回、来日直前のパワーポッパー、Jim Boggiaさんにドキドキメールインタビューを試みました。
インタビュアーらしくちょっと意地悪な質問も用意して、望んだのですが…


シンガーソングライターとして素晴らしいステージを聴かせる傍ら一流のサポートミュージシャンとして活躍しているJim Boggiaの生の声をどうぞ!


POWERPOP ACADEMY
Hello!Jim。
初来日ファンとして本当に嬉しく思います。まず、このページを見ているみんなのために、改めてあなたのバイオグラフィーを聞かせてください。音楽との出会いとか、初めて曲を書いた時の事とか?


Jim
正直、音楽に興味を持つ以前の事なんて思い出せないんだ。両親が言うには、しゃべれるようになる前にラジオから流れるメロディに合わせて歌っていたらしい。覚えているのは四歳の時にギターを弾きたくってたまらなかった事だね。僕の両親は数ヶ月おきに親父の友達が経営しているミュージックストアに連れて行ってクラシックギターを習わせようとしたらしいんだけど、いつも手が小過ぎて無理だって断られていたんだって。僕はギターが弾けなかったので、店を出る時はいつも泣いていたんだ。そして五歳の時、遂に両親は上の三本の弦だけでレッスンを始めてくれるよう先生を説得してくれたんだ。三本の弦から始めて、僕の手が大きくなるに連れて他の弦も覚えていったんだよ。


POWERPOP ACADEMY
もし覚えていたらでいいんですが、あなたが初めて買ったり聴いたりした最初の5枚のレコードを順に教えてください(覚えていなければ、人生のトップ5アルバムを教えてください。あなたの音楽的バックボーンが知りたいです。)


Jim
僕がもらった最初のレコードは覚えているよ。僕にはポップミュージック狂の叔父達がいて、彼らが僕の「Close 'n' Play」(子供向けのとってもチープなレコードプレーヤー)で聴く事の出来る45回転のレコードをくれたんだ。その後しばらくして遂に「Fisher Price kid's」プレーヤーに買い換えたんだ。こいつは僕にとって大事件だった。もらった45回転レコードの中で覚えているのはまずBox Tops の「あの子のレター」。それから Moody Blues の「青い影」、 Mary Wells の「My Guy」。あとDionne Warwick の何かの曲(良く覚えていないんだけど、バート・バカラックの曲だったと思う)だ、確か「Scepter record」レーベルのやつだった。そして最後に大事な一枚、'Hey Jude' / 'Revolution'のカップリングレコードだ(もちろんThe Beatles)。

このレコード達を手にして僕はもう夢中になった。だって、盤の同じ面に違うレーベルの曲が入ってるんだぜ。あれ以来そんなレコードは見たこと無いよ。とにかく、僕はそいつらに針を乗せて曲が流れて終わる。僕の人生はそんな風に繰り返し繰り返し擦り切れるまで聴いたんだ。そしたら僕の叔父(その時彼はまだ16歳だったけれど)は同じレコードをもう一つ買ってくれたんだ。そして2枚目のレコードが擦り切れた時、叔父は僕の両親に言ったんだ。「もうこれ以上は同じレコードを買ってやれないから、JimにHiFiを買ってやってくれ」ってね。


POWERPOP ACADEMY
あなたのファーストアルバム「Fidelity Is the Enemy」について聞かせてください。どういう経緯でアルバムをリリースする事になったんですか?


Jim
僕が音楽だけで生活が出来るようになったのは96年ごろだった。最初はいくつかのデモを作ってレコードレーベルとの契約を獲得しようとしたんだけど、契約にこぎつけるまでには僕が考えていた以上に時間がかかった。その間に音楽業界は変わり始めて行ったんだ。デモを作る代わりに、先に思い通りのアルバムを作るんだ。そしてそれをレーベルに聴かせて契約するって具合さ。その時の経験は本当に良かったって思っているよ。なぜなら、今でも存在しているインディミュージックシーンに出て行く良い準備になったからね。


POWERPOP ACADEMY
「4 way street」について教えてください。どういう経緯でこのバンドに参加したんですか?また2年前に再結成で演奏されていますがそれついての感想など聞かせてください。


Jim
「4 way street」はライブからスタートしたんだ。元々僕達4人はお互いに知り合いで色んな組み合わせでお互いのアルバムに参加したりしていた。遂には一緒に住む事になった奴もいたよ。ある晩僕ら4人はクラブで飲んでいたんだ。で、その場の勢いでその日の最後に4人で演奏させてくれって頼み込んだんだよ。確か全員が知っている曲を探して Van Morrison の「The Weight」を演奏したんだ。僕らは4人でうまい事コーラスが出来る事に気がついた。本当に楽しかったよ。それでそれぞれの曲のバックでお互いにコーラスしあうようなライブをする事にしたんだ。これは行けるって思ったよ。新しい形での最初のライブで僕らは小さなフィラデルフィアのレーベルからオファーをもらったんだ。まさに進行形のプロモーションになったって訳さ。でも僕はちょっとだけ違和感を感じていた。この活動の面白い所は4人のソロミュージシャンがコラボレーションをするって事にあったと思うんだ。いったんバンドとしての形を取ってしまうとそれは(ソロミュージシャンとしての)何かを失う事になる。だから4人のフロントマンで構成されたバンドってのは理想的な形ではないと思うよ。もちろん楽しかったし僕は喜んでやったんだけどね。最後に僕らが一緒に演奏したのが2年前だね。Joseph と Scott は海外に住んでいるんだけど、全員がたまたま戻ってきたからなんだ。でもこれは非公式のライブだったんだよ。


POWERPOP ACADEMY
あなたのセカンドアルバムには PETE THOMAS(エルビスコステロ&アトラクションズのドラム)、AIMEE MANN、EMITT RHODESなど沢山の有名ミュージシャンが参加されていますが、どういう経緯で彼らが参加する事になったんですか?またそのときの感想を聞かせてください。


Jim
「Fidelity is the Enemy」は非常に小さいインディペンデントなアルバムという形を狙って作られたんだ。そして僕が一緒に仕事をするなんて考えた事も無いような素晴らしい人々と出会うきっかけをくれた。僕が憧れて尊敬しているミュージシャン達と一緒にアルバムを作れた事は今でも素晴らしい事だと思っているよ。


POWERPOP ACADEMY
youtubeにはあなたの素晴らしい演奏が沢山アップされていますね。僕はいつも新しい映像がアップされるのを楽しみにしているますよ。カバーも含めてすごく沢山のレパートリーがありますよね。Beatles からマイケルジャクソンから…カバーのレパートリーは何曲くらいあるんですか?


Jim
正直、数えられないなぁ。

僕は五歳の時から曲を憶え始めたからね。良く部屋に閉じこもって練習したもんだよ。まず、レコードプレーヤーとギターを用意して(後にはこれにテープレコーダーが加わった)座るんだ。そして最初はただ聴くだけ。次に全てのパートを頭に入れる様にする。僕のバブルガムな45回転のレコード達をね。ポイントは頭の中で意識しなくても曲がはっきり聞こえる様になるまで時間をかけるって事さ。だからステージで僕は全く演奏した事も無い様な曲を沢山演奏するんだよ。誰かがリクエストしてきたり、他の曲のイントロを弾いていてふっと思いついたりって具合にね。このトライアルはとっても楽しいんだよ。僕は何の準備もしていないし失敗する可能性もある事に挑戦するのが大好きなんだ。ステージ上での綱渡りだね。思うにこれがステージを常に新鮮で楽しいものにする秘訣なんだ。だから、数年前からライブのセットリストを用意するのをやめたんだよ。


POWERPOP ACADEMY
2年前 Mike Viola と Bleu が来日し僕は対バンをさせてもらったんですが、Youtube にはあなたと彼らの素晴らしい競演が上げられていますね。彼らとはどういう経緯で知り合い競演したんですか?また彼らの曲についてどう思われますか?


Jim
彼らは大好きだよ。二人とも素晴らしい。Mike と僕は文字通りステージが引き合わせてくれたんだ。4年くらいの間、僕らはお互いにいろんな人から「彼を知らないの?君達は絶対一緒にプレイすべきだ」って言われ続けていたんだ。そして彼と出会ってそれが正しかったってよくわかった。Mike と僕は音楽の異母兄弟みたいなもんさ。僕らは二人ともお互いがどうやってプレイするのか意識しなくても魔法のようにぴたっと歯車が噛み合うんだよ。BleuはMike を通して知り合った。彼のことは Mike から良く聞かされていてね。僕らは今それぞれ相手の曲に参加するライブを始めてるんだ。彼とはすごく馬が合うんだよ。先月イギリスでライブしてきたばっかりさ。とてもいいライブだったよ。


POWERPOP ACADEMY
あなたはアメリカンアイドルで有名な Constantine Maroulis's のバックバンドに参加されていましたが、彼について「正直」に教えてください。
(※この質問はイギリスのメディアのマネをして少し意地悪に聞いてみました。Jim ごめんなさい)


Jim
ジェントルマンは暴露はしないものさ。
(※さらっとうまくかわされました・・・)


POWERPOP ACADEMY
あなたのサイドプロジェクトやサポートのお仕事について教えてください。


Jim
僕はいつもバックバンドやセッションボーカリストとして沢山のライブをしているよ。これらはお金を稼ぐ為ではあるんだけど、フロントマンやソロアーティストとは違ったスキルを使う傾向にあるからなんだ。僕はコーラスすることやギターだけを演奏するのも好きなんだ。演奏中ずっと歌っていなくてもいいしね。これはソロの時とは別物の感じなんだ。僕がここ一年携わった中で一番大きなプロジェクトは、Beatles の曲を演奏するんだったらこの人が一番だと思っているFab Faux との仕事だ。最初はJimmy Vivino や Jack Petruzzelli の代わりに何度か参加していたんだけど、最近では第六のミュージシャンとして彼らと一緒に演奏しているんだ。この9月にJohn Lennonの70歳の誕生日を記念して行われたRadio City Music Hallでのライブで3時間にも渡るJohnとBeatlesソングずくめの演奏をしてきたばかりだよ。すごくドキドキしたよ。大好きな曲を全世界のベストメンバーと一緒に演奏出来てとても楽しかった。ちなみに僕はギター弾いて歌う以外に、キーボード、ベース、パーカッション、時にはドラムまで演奏したんだ。これも楽しいチャレンジだったよ。


POWERPOP ACADEMY
最新アルバム「MISADVENTURES IN STEREO」すごく好きです。僕のお気に入りは「listening to NRBQ」です。ちなみに本家 NRBQ も日本で2回見に行きましたよ。このアルバムのテーマや作成時のエピソードを教えてください。


Jim
「Misadventures in Stereo」は2つのテーマに分かれているんだ。A面(原文ではSide1)は「僕自身に起こった不幸」、B面は「他の誰かの不幸」って言う風にね。僕たちがやらなくちゃならない事の中で上手くいかなかったり失敗したり苦労したりした事についてのアルバムなんだ。「僕の不幸」は8年間続いた関係が終わってしまって何とか折り合いを付けようとしたもがく後遺症について歌っている。「誰かの不幸」では僕が友達を通して聞いた話にヒントを得て(ものによってはそのまま)作ったんだ。このアルバムの中で「Chalk One Up For Albert's Side」って曲はTony Asher(「Pet Sounds」をBrian Wilsonと一緒に作った)と共作したんだけど、誰かが真の勝利を得る歌なんだ。どこかに一つだけ希望を持っていないとね。レコーディング中に冗談でこのアルバムを「1勝9敗」って呼んでいたよ。このアルバムの中で一番人気のあるのは「Listening to NRBQ」みたいだね。僕が他の現場でずっとBig Al Anderson がすごいって言ってたら、何と彼がこの曲でギターを弾いてもいいって言ってくれたんだよ。一番嬉しかったのは、Big Alが「君の曲はジョーイと同じくらい沢山のコードを使ってるね」って言ってくれた時さ。彼は本当に素晴らしいよ。

POWERPOP ACADEMY
次回作について何か計画はあるんですか?


Jim
レコーディングしたらすぐにでも!来年の頭にでも作り始めようと腕まくりしているところだよ。僕の作りたいアルバムにはいくつかのアイデアがあるんだ。でもそれらを一緒に実現出来るかでかなり迷っているよ。実は前の2作をリリースしたレーベルが潰れてしまったんだ。それで権利を取り返すのに少しもめたんで時間がかかってるんだ。でも今は落ち着いてきていい気分なんだ。うずうずして堪らないし、沢山のアイデアが湧いてきているんだ。だから、時間が出来たら思いっきり開放するつもりだよ。

POWERPOP ACADEMY
どうもありがとう!ライブ、本当に楽しみにしてます!

【Jim Boggia Japan Tour 2010】

11月27日(土) 下北沢 La Cana
11月28日(日) 静岡 Nouvelle Vibe
11月29日(月) 金沢 Big Pink
11月30日(火) 大阪 club WONDER
12月1日(水) 松山 Cafe Bleu
12月3日(金) 京都 拾得
12月4日(土) 鎌倉 Cafe Goatee
12月5日(日) 鎌倉 Cafe Goatee

詳細は招聘元であるCafe Goateeのオフィシャルサイトをご覧ください。
※ライブ情報など変更になっている場合がございますので必ず上記サイトなどでご確認ください。


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Nov 21, 2010

 

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