Nick Flora ”Futureboy”
2015 (Off The Flor Recordings)
米ナッシュビル出身のインディ・ロックアーティストNick Floraが、最新ミニアルバム『Future Boy』でパワーポップに大きく舵を取った。これまでリリースした3枚のアルバムを経て、Nickは「これまでやってきた音楽性に関係なく、自分自身のミュージシャンとしてのパーソナリティはどんなものなんだろう、って考えたんだ。自分の音楽の根源にあるものはなんだろう、って。」
結果、過去作においてあまり発露してこなかった彼のパワーポッパーとしての才能が開花することとなった。大胆なリズムと壮大でメランコリックなメロディが映えるM-1「The Business Of Breaking Hearts」、WeezerやFeederにも通じるラウドなミドルテンポナンバーM-2「It's All Coming Together」、ピコピコシンセドラムの軽快なビートに乗せて最高にキャッチーなサビが炸裂するM-5「For The Sake Of Conversation」。Nickのシンガーソングライターとしての原点はここだ!と言わんばかりのパワーポップ・ナンバーが並ぶ。過去作にもパワーポップと言っていい楽曲は少なからずあったが、ここまで直球にパワーポップそれも90'sへの憧憬をはっきりと表したのは初めてだろう。もともと、Ben Folds FiveやFountains of Wayneのファンを公言しているNick。実にのびのびと、自分の原点へ立ち戻った喜びを表現しているようだ。
「古くからのファンが一体どんな反応をするだろう、ってわくわくしているんだ。そもそも、僕は他人からの期待や予想をかわすのが好きなんだよ。良い意味で裏切るというか。だってその方が結果的にファンを楽しませるだろ?」とのコメントどおり、次回作ではどんなサプライズがあるか楽しみだ。
2015.9.22発売