Ransom and the Subset - “No Time To Lose”
2014 Tune Stack Records / Daylight Records
脱サラして一念発起、アルバムを制作するやFountains Of Wayneが絶賛→まさかの日本デビューを果たした、「50代の新人」Ransom and the Subset。いくつになっても夢を諦めない彼の情熱に敬意を表し、POWERPOP ACADEMYクロスレビューを敢行!
「BMX Bandit'sってサイコーだよな。あんなバンドやりたいんだ。」
ある日突然そんな電話がかかって来た。そりゃいいけど俺はCheeky monkeyの方が好きなんだけど…、とかブツブツ言いながらもその話に飛びついた覚えがある。I Wanna Live With Youって曲がすごく好きだった。あのめちゃくちゃシンプルで素朴なボーカルが、当時流行ってた使い捨てのようなお決まりのギタポに飽き飽きしてた僕にスッと染み込んだんだと思う・・・。
本作、Ransom And The Subsetは脱サラとか派手な事言ってるけど以外とシンプル系だと思う。まあ、Fountains Of Wayne直系の極めて良質のパワーポップである。シアトルの50過ぎのオッさんが脱サラしてバンドやっちゃいました、しかもFountains Of Wayne似でJody Porter参加・・・。出来過ぎである。勝手な想像だがJodyの兄貴説を推したいところ。でなきゃやらんよなぁ、と思いながら聴いていると素敵メロディでスッと耳馴染みの良い作り。ドラムとベースの音作りがやたらパンクっぽいと思ったら元パンクドラマーDucky仕事と聞いて納得。全体的にはステキメロディがふんだんに散りばめてあり良盤。今時フェードアウト多用というのが微笑ましい。Fountains好きにはきっとタイトル曲No Time To Loseがなんたってオススメ。アクの無いピュアFountainsそのままである。個人的には7曲目Sticking On To Youがなんとも味があって好きである。2番のサビで恐らくDuckyと思われる野太い声がウガチャカウガチャカ言っててステキ。そして一押しは3曲目Leaving With You。ちょっとだけダークな雰囲気もあり、Fountains切り口で無いのが良いと思う。どうせならこっちの路線で広げてほしいなぁと切望。
RaspberriesのI Waana Be With You、Cheeky MonkeyのI Wanna Live With Youと並んで○○ With Youシリーズの一曲として僕のプレイリストに入れよっと。
<ワタナベオサム>
とてもデビュー作とは思えない余裕綽々の完成度。連想するのは“人間工学に基づくデザインで、快適さやフィット感を極めたインテリア”。だって、心をわしづかみにするサビ、気分高揚度120%のギターカッティング、絶妙なタイミングで挿入される美味しいオカズ、かゆいところに手が届くコーラスワークなどなど、パワーポップリスナーの耳とココロにとっての“快楽”を分析し尽くしてデザインされたかのように聴こえるんだもん。しかもそれが、決して予定調和的ではないという奇跡。アルバムの最初から最後まで「くぅ〜、かっこいい!」とか「うひゃ〜、しびれるぅ!」だらけです。ちょっとぶっきらぼうな歌唱がオウズリーを思わせるところも好ポイント。
<Miyuki Kimura>
'90sにシーンを賑わせた新世代のパワーポップバンドは、ビートリッシュなマジカルポップセンス、パンクのアグレッシヴなビート、ビーチボーイズのハーモニー、ニューウェイヴのキッチュなノイズ、フォークロックのギターリック等、様々な要素を内包しつつフレッシュな感性で颯爽と登場! 未来につながるポジティヴな音を鳴らした!
その中の中心的存在であるクリスとアダムという二人の卓越したソングライターが結成したFountains Of Wayneや、The HolliesとBig Starが幸福の出会いを果たしたかのようなサウンドを持つThe Posiesは、その後のシーンとミュージシャン、そしてリスナーにグッド・ヴァイブレーションを与えた♪
…そんな'90sパワーポップに大いなる影響を受けた一人の男、Ran Dairが率いるRansom and the Subsetというバンドが、今の時代に'90sパワーポップの魅力を受け継ぎ'00s以降のテイストをちりばめたアルバム『No Time To Lose』でデビューを飾った!
弾けるリズム&ジャングリーなギター&カラフルなキーボードに、ビタースウィートなメロディ&ヴォーカルとフレッシュなコーラス&ハンドクラップ…。Ran Dairが思い描いていた“これぞパワーポップ”なナンバーが次々と飛び出してくる!
RanDairの脇を固めるスタッフも、パワーポップの真髄を知り尽くしているツワモノぞろい!エンジニアにDucky Carlisle(MikeViola, Bleu, Major Labels)、プロデューサーにはBrian E. Kingを迎え入れ、名盤「Frosting on the Beater」でのダイナミックなドラミングが印象深い元The PosiesのMikeMusburgerや、数曲を聴いてすぐさま参加を志願したFountains of WayneのJody Porter、元Harvey DangerのMike Squires等…彼が憧れた'90sパワーポップバンドのメンバーによる的確なサポートにより、'90sパワーポップの名盤に勝るとも劣らない傑作アルバムに仕上がった!
Fountains of Wayne~Gigolo Aunts~The Posies~The Honeydogs~Sloan~Greenberry Woods ~Phantom Planet~Starbelly~MikeViola…等の素晴らしいアーティストたちの系譜を受け継ぐRansom and the Subsetのパワーポップ。
全てのポップファンに聴いてもらいたい、勇気が出るドリーミン・パワーポップだ!
<Jun@The Hand Claps>
パワー・ポップ界にオールド・ルーキー現る!
世界を飛び回る優秀なビジネスマンだったRanDair、それでも満たされない彼の長年の夢、それは「最高のバンドを組んで、最高のパワー・ポップ・アルバムを作ってやる!」
たった1度の人生、夢を追いかけることを決めた彼は『No Time To Lose』=グズグズしてられないぜ!とばかりに、なんとJody Porter(Fountains of Wayne)らを巻き込んでアルバム制作突入。完成した作品は、ちょっぴり懐かしくてフレッシュな魅力が詰まった90’sド直球なパワー・ポップ!飽きのこないメロディーとコーラス、随所で聴かれる強者どもの円熟味のある演奏、なるほど、ツボを心得たサウンドだ。
だけどもだけどね…
ソツがないというかまとまりすぎてる感もありというのが正直なところ。
デビュー作ならではの好き放題やってやったぜ的勢いで押しきる、パワー・ポップの”パワー”の部分も感じたかったな、とも思うのであります。
<森ヒロユキ@BOYS ON THE BEACH>
初めて聞いたとき感じたのは、およそデビュー作とは思えない完成度の高さ!Fountains of Wayneを思わせる極上でポップなメロディーに、Posiesの透明感をちょこっと乗せたような、90年代以降のパワー・ポップ好きにはたまらないアルバムです。本当にやりたことをやろう、と王道的パワー・ポップに真っ向勝負を挑み、それに埋もれることなく確かな実力の示していると思います。アコギから始まって伸びやかなサビへ繋げる「Anna」FOWのアルバムに入っていてもおかしくないタイトル曲「No Time To Lose」ピアノを基調とした、美しく少し物悲しい「Questions」一転して、痛快なドラムから幕を開ける元気一杯でライブ映え必至な「Girl I'm Not Afraid」など、聞き所は多数。FOWのメンバーも絶賛したそうですが、彼らの作品にも匹敵する素晴らしいアルバムですね!
<内田 晶悠>
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01. Anna
02. When Will I See You
03. Leaving With You
04. Million Out Of Me
05. No Time To Lose
06. One For Me
07. Sticking On To You
08. Questions
09. Girl I'M Not Afraid
10. Baby Cry
11. We'll Get By