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Ian Axel “This Is the New Year”

2011 (SELF)

「This Is the New Year」という曲が超人気ドラマ「Glee」に取り上げられたことで、一夜にして話題のアーティストとなり、「Say Something」がクリスティーナ・アギレラ様のお気に召し、彼女と一緒に再レコーディング→再リリースで世界的に大ヒット!!と、まるで映画のようなシンデレラストーリーを地でいってるA Great Big World(以下、AGBW)の大きい方=もじゃメガネ=Ianさんが、AGBWでデビューする以前にリリースしていたソロアルバムがこれ。「This Is the New Year」も「Say Something」も、既に本作に収録されています。

これまでの経緯はざっとこんな感じ。◆本作の誕生は2010年(セルフリリース)。インタールード(M-4)をのぞくすべてが、ニューヨーク大学在学中に出会ったChad(=AGBWの小さい方)との共作曲です。◆2010年の暮れから、タイトル曲「This Is the New Year」が若者のダイエット奮闘記を描いたMTVの番組「I Used To Be Fat」のテーマソングに。◆2011年2月、アルバム「This Is the New Year」がtinyOGREという小さなレーベルから再リリースされる。◆2011年8月、「Glee」でシュー先生を演じているマシュー・モリソンのNYでのコンサートを2人でサポート(Ianはファイヴ・フォー・ファイティングの国内ツアーのオープニングアクトもつとめています)。◆2011年暮れに公開され大ヒットしたロマンティック・コメディ映画「ニューイヤーズ・イブ」にタイトル曲「This Is the New Year」が使われる。◆2012年になると、A Great Big Worldの名での活動をスタート(レーベルがつぶれてしまい、起死回生を狙った模様)。◆2013年1月、「Glee」のシーズン4 第12話「Naked」でニュー・ディレクションズが「This Is the New Year」を華々しくカバー。◆2013年9月3日、シングル「Say Something」をリリース。その直後(9月10日)にダンスオーディション番組「So You Think You Can Dance(FOXテレビ)」で、後にチャンピオンになるダンサーが「Say Something」をバックにダンスを披露し、大きな話題に。◆2013年11月4日には、クリスティーナ・アギレラ様参加の「Say Something」をリリース。◆2014年1月21日、AGBWのデビューアルバム「Is There Anybody Out There?」がアメリカでリリースされる。……ま、ようするに“いい曲を作ったら、それがきちんと評価された”ってだけの話なんですけど、みなさんご存知の通り、なかなかそうはいかないんですよねぇ。。。

さて、本題に戻りましょう。なんとなく“なかったこと”にされているこのアルバムですが(笑)、いやぁ実に素晴らしい!! ベン・フォールズ・ファイブを思わせる痛快ピアノロックを柱に、AOR系の瀟洒なポップソング、ストリングスが流麗なミドルバラード、エキゾチックで情熱的なワルツ、クラシックのピアノ曲のようなインタールード……など多彩で高品質な楽曲が並んでいます。歌い回し、声色ともに表情豊かなIanの歌唱も見事。AGBWのファンはもちろん、パワーポップ系SSWがお好きな方にはぜひ聴いてみていただきたいです。アメリカのネットショップを見ると、CDにはもの凄い値段がついてます(もともと流通量が少なかったのでしょう)が、アルバム丸ごとBandCampで何度でも繰り返し聴くことができます。ありがたや、ありがたや。あ、サマーソニックの1日目(大阪会場)で、機材トラブルのためにAGBWのステージが中止となってしまい、そのお詫びにIanさんがウクレレ1本で「Say Something」を歌うというミラクルがあったそうですが、本作にもウクレレバージョン入ってますよ♡


<Miyuki Kimura>