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Common Shiner “Before They Sold Out: Part 2”

2013 SELF

2002年にミシガン州・グランドラピッズで結成され、現在はシカゴを拠点に活動している4人組。タイトルにPart 2とあるのは、2011年に「Before They Sold Out: Part 1」を出しているから。2枚のアルバムは兄弟みたいな関係で、Part1はアコースティック、Part2はフルのバンドサウンドです。

本作の魅力をぎゅっと凝縮したようなオープニングナンバー「Sharks! 」は、ハイテンポで刻まれるハイハットと、アコギの素朴で軽快なアルペジオで始まります。ポロロン♪とピアノが加わると、Morgan(ギター/ボーカル)とMichael(キーボード/ボーカル)によるきれいな歌メロ&爽やかなハーモニーが……。ここまでは、まぁいわゆるインディ・フォークなテイストです。Bメロに入ってバスドラの4つ打ちがのっかてくると、じわじわと高揚感アップ(ここでのコーラスも美しい)。で、サビ前にスネアの連打があって「よっしゃ、サビ来るぞ!!」と身構えていると、予想を大きく上回る盛り上がりが到来します。ドカーン!!と。ってか、ここからは完全にピアノエモ。心憎いブレイクを挟んだり、再びインディ・フォークに戻ったりしつつ、最後まで疾走。いやぁ、かっこいい。

好きなアーティストとして、Ben Folds、Motion City Soundtrack、Death Cab for Cutie、Mumford & Sonsといった面々を上げている通り、本作に収録されているのは“痛快なピアノロック~ポップパンク~パワーポップ+フォークロックやアメリカのルーツ音楽のエッセンス”なサウンド。先人たちの影響まるだしな部分も多々ありながら、ちゃんとCommon Shinerワールドをつくっています。

いちばんの特徴は、メリハリ満点のおもてなし。前述の通り、サビの盛り上がりは、聴き手の予測をはるかに超える規模で盛り上げる。かっこよく決めるべきブレイクは、猛烈にかっこよく。曲の雰囲気を変える展開部は、思いも寄らない展開に。……ってな感じで、それはもうサービス満点。気持ちいいったら、ありゃしない(笑)。一本調子なナンバーは皆無で、けっこう複雑な構成も多いのですが、それが箱庭的じゃなくすっごくオープンかつダイナミックだというのも大きな魅力です。ピアノSSWを愛する方から、パンキッシュなピアノロックで思い切り弾けたい方まで、幅広いリスナーにおすすめの1枚。彼らのライブ、野外で観たいなぁ~。Motion City Soundtrack直系の7曲目「Social Mediasochist」なんか、きっと激しく盛り上がることでしょう。

<Miyuki Kimura>


1. Sharks!
2. Next Plan of Attack
3. Mae Calling
4. When To Say When
5. Write Back Soon
6. Oh, The Optimist
7. Social Mediasochist
8. Even My Vices Have Vices
9. We Own This
10. Cup Runneth Sober
11. Cold Chicago Shores
12. It Took the Dead...