Brian Ray "This Way Up”
2010 (Whooray)
一連の来日公演騒ぎでのポール御大の事を考えると心が痛む、先日の来日時は71歳であんな素晴らしいライブを出来る事に感動したばかりなのに…。
ポールのライブが秀逸なのはもちろん彼自身の才能なのだけれど、そのバックバンドの素晴らしさもあると思う。近年のポールマッカートニーバンドははっきり言って歴代最強の布陣なのである。
その一角を担うBrian Rayの2ndソロアルバム、This Way Upである。Etta JamesやSmokey Robinson、そして我らがポールと輝かしいキャリアを持つBrian。ポールと一緒に演奏している時のいぶし銀サウンドとは一線を画したブリブリのギターサウンドがてんこ盛りでなんともテンションが上がる。確か同じくポールバンドのドラマーAbeの紹介でDriving Rain辺りからポールバンドに参加していた彼。ポールバンドでは時折ポールの代わりにベースを担当する事もある彼だけに、一つ一つの楽器の音像がはっきりと聴こえる心地良いプロデュース。どちらかといえばブリットポップ寄りの楽曲とアレンジが、なんとも自然に聴こえる。ドラムは盟友Abeに加え、Elvis Costelloの右腕、Pete Thomasも参加している!大物ミュージシャンを曲によって使い分ける贅沢な仕上がり。近年ではBrianとThe Bayonetsというバンドを組んでいるOliver Leiberとの共作も多く、このアルバムがその後のThe Bayonets活動のプロトタイプにも思えてくる。タイトル曲、This Way UpはAbeが参加して本当にカッコ良いロックナンバーに、仕上がっている。我々パワーポップナードからするとちょっとカッコよすぎるけれど、それも仕方ないよなぁ…。彼のキャリアからすると完全に息抜きなんだろうけれど、それが逆に実に自由な曲としてドロップされているのが気持ち良いのだ。