The Offbeat “The Offbeat”
2008 (SELF)
シンガー・ソングライターのトニー・コックスを中心とした3人組バンドのデビュー作。ブリット・ポップ・ムーヴメントで活躍したDodgyのヴォーカリスト、ナイジェル・クラークがヴォーカルを務めている。ナイジェル・クラークはそこそこ有名なアーティストなので、このバンドももっと知名度があってもおかしくはないと思うけど、一般的には今ひとつ知られていないのが残念だ。
アルバムは60年代のポップ・ミュージックを踏襲した内容となっている。「60年代」というと、どうしてもビートルズの名が幅を利かせてしまうけれど、彼らの場合はビートルズだけでなく、ゾンビーズ、バーズ、モンキーズなど、様々なグループの要素が違和感なく溶け込んでいる。そのため、どうしても「60年代風」という抽象的な表現をせざるを得ないということになってしまうのだが、逆に言えばその時代の集合的な魅力に溢れており、そういった雰囲気が好きな方にはたまらない一枚と言っていいだろう。単純に優れたメロディーに聞き入るのも良いし、出典が明らかにわかる大胆な曲を聞いて「ああ、この曲はここから拝借してるんだな」とニヤリとする、といったマニアックな楽しみ方もできる。
個人的には、The Red ButtonやSpencer McGillicuttyなんかのファンにおすすめしたい。厳密にはイメージが少し離れているかもしれないけれど、「60年代風でレトロなポップ」という意味では共通していると言えるし、クオリティとしては彼らの作品にも肩を並べられる申し分のない出来だと僕は思っている。
<内田 晶悠>
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