Fastball "The Harsh Light of Day"
2000 (HOLLYWOOD)
その日、僕は友達と新百合ヶ丘のサビれた大手CDショップでブラブラしていた。渋谷とか新宿とかじゃないので全く買う気もなく、本当にただの暇つぶしだった。そろそろご飯でも食べに行こうかと思っていた時、そのキラーチューンが店内に響き渡ったのだった。ピアノのグリッサンドで始まる完璧なイントロ!そしてまさに王道メロディで歌い上げるコステロ似のパワフルボイス!一瞬で虜になった。ノリノリで聴いていたらあっという間に終わってしまった。なんだが知っているバンドのような気もするが、モヤモヤとしててわからない。すぐにでも買いたいけど…とモジモジ。ナードな僕はクラブでDJさんに聞くのだって出来ないのに。それに黄色いレコ屋でも赤いレコ屋でもないただのCDショップで…。と意味のないモジモジを感じ取ったお節介な洋楽に全く興味のない友達が「店員さんに聞いてあげようか?」と苦い一言をくれたのだった。僕のちっさなプライドは一瞬でズタズタになったが、「fastballってバンドの新譜らしいよ?まだ発売前だから予約できますってさ。」と判明。取り繕うかのように「…なるほど、Fastballかぁ!新譜出るんだぁ。」とさらにモジモジ。それでも結局、その場で予約したのだった。
数日後手に入れたそのCDは、なんとも完璧なパワーポップ名盤だった。僕を一瞬で虜にした「You're An Ocean」の他にも、たくさんの素晴らしい名曲がつまっていた。Shazamもネットでの先行試聴も無い時だからこその自分の耳のみの僕の判断は間違っていなかった。情報先行で聴くことが増えている近年、このFastballの名盤とともにこの甘酸っぱい出来事を思い出すのだった。
Hollywood Records (2000-09-12)
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