Radiator Hospital “Something Wild”
2013(Salinas Records)
米ミシガン州出身の4人組インディポップバンドRadiator Hospitalは、おそらく人によって好き嫌いが非常にハッキリわかれるアーティストだろう。一言で言えばぶっ飛んだドリーミング・ガレージポップ。ガレージの投げっぱなしなソリッドさとパワーポップのあたたかいキャッチーさ。そんな突き離され感と親密さが同居する不思議なサウンドだ。
ぐちゃぐちゃなようで聴きやすく、崩壊寸前で突っ走るポップネス。音の分離感のなさがまた“塊”感を演出していて、もはや走っているのか転がっているのかわからない疾走感を際立たせている。そんな半ば暴力的にカオティックなポップサウンドの中に、人を食ったようなクセのあるヴォーカルがなぜかキリっと耳に残ってくるからおもしろい。歌い方は全然キリっとしていないのに。
「Our Song」のようにキャッチーなキラーチューンがあったかと思えば、「Are You Feeling Me?」では紅一点メンバーがヴォーカルをとったり、1分45秒の超ショートチューン「Ghost Story」では強烈なポップセンスを輝かせたり、ところどころに「Cryin' Kind 」のように実験過ぎてわけわからん曲があったり。とにかく一枚通して聴くのがとても疲れる。それでも聴き終わった後にもう一度再生ボタンを押してしまう。そして、いつのまにか彼らの強烈なポップネスの虜になっていく。そんな中毒性のあるアルバムだ。
<トラックリスト>
1. Do You Remember?
2. The Great Escape
3. Big Cloud
4. Our Song
5. Cryin' Kind
6. Are You Feeling Me?
7. Lose Sight Of You
8. Your Boyfriend
9. Down Again
10. Sometimes
11. Ghost Story
12. Something Wild
13. Lose Sight Of You