aeronauts "Ready Made"
2009 (SELF)
何と言ったらいいのだろう。その世界観、溢れ出す轟音と憂い。片方で全世界に向かって中指を立てながらツバを吐き、片方で全てを受け入れてくれる愛に溢れたそのスタンスは、僕をずっと虜にしている。結成17年、全員オリジナルメンバーで積み上げられて来たその葛藤とグルーヴは決して負けない強さを持っている。
日本のデトロイトシティ、大阪初のこのバンド。2009年にリリースされた本作はU2、レッチリ、Appleseed Castなどなど曲はバラエティに富んでいるが何か一本筋が通った気持ちよさを感じる。時折英詩も混ぜながらも、日本語で紡ぎ出される世界観は映画のようなのだ。本人達も彼らのファンもエアロはパワーポップじゃないと言うと思うけれども、このアルバムに収録されているin bloomやFUNKENSTEINなんかは素晴らしいパワポナンバーだと思うのだ。
さらに特筆すべきは彼らのライブパフォーマンスである。どこまでも熱く訴えかけるそのパフォーマンスは、是非一度体験して欲しい。もし見に行ったライブでメンバー誰かに機材や何かのトラブルが起こったらそれはむしろラッキーな事である。メンバー全員が更にブーストスイッチが入ったかのようにトラブルを楽しみながら魔法に変えていく様を見る事ができるだろう。そんじょそこらのバンドには出せないマッチョなグルーヴと繊細で天邪鬼な世界観が同居する何とも気持ちの良い音の壁がそこにはあるのだ。
今でこそ当たり前になったBandCampもいち早く手を出していたりと活動のアプローチもまた面白い。今年はototoyから新作EPを発表したばかりである。そろそろまたエアロ兄さん達のライブを見たいなぁ…。
<ワタナベオサム>