The Sugar Spiders “letters from home”
2013(SELF)
「やられた!」
再生ボタンを押して25秒。Aメロが始まった瞬間にそう思った。歪みに歪んだファズギターのミュートしたルート進行からの男女のオクターヴ・ヴォーカル。もうそれだけで彼らのローファイでラウドな世界に引き込まれた。
チップチューン・アーティストUnicorn Dream Attackとしても活動するメガネ系ナード男子Stefen Keenと素敵女子Cindy Keenのふたり(兄妹?)による、ローファイ・パワーポップ・バンドThe Sugar Spidersが、突如7曲入りの本作をリリースしたのは今年(2013年)7月。FacebookもTwitterも、ましてやオフィシャルWEBサイトもなにもない。あるのはBandcampのぶっきらぼうで何の情報もないページだけ。それでも多くのサポーターを惹きつけるにはこの7曲があれば十分だったようだ。
先述の必殺男女オクターヴ・ヴォーカルがクリティカルなM-1「Bunny Love」から始まって、まさにサウンドをまんま表したM-7「Fuzzy(Little Oceans)」まで、ファズ・ペダルは踏まれたまま。テンポもそうたいした違いはない。荒削りで暴力的なディスト―ションと大振りなエイト・ビート、でもなぜか優しくてふわっとした印象を受けるのは、脱力系なヴォーカルとコーラスのせいだろう。こんなに爆音なのに、おとぎ話の中のような、メルヘンな気分にさせてくれる。はたして次の作品はどうなるのだろう。アルバムは出るのか!?どうなんだ!?まったく謎。たぶん気が向いたらまたアルバムを制作するんだろう。それが何年後になるのか、わからないけれど。
<トラックリスト>
1. Bunny Love
2. The Breakup Song
3. Sooner
4. Teddy
5. Agness
6. Cinnamon
7. Fuzzy(Little Ones)