Eric Barao “Eric Barao”
2013(SELF) ¥1,680(tax in)
バークリー音楽大学卒業という実力を持つ、パワーポップ界の “王子”こと、元The CautionsのフロントマンEric Baraoの記念すべきソロ・デビュー作である。
我らがモミアゲ番長こと、BLEU全面プロデュースの元制作された本作はドラマチックでロマンチック、そしてエモーショナル。近年のBLEUが得意とするエレクトロなポップ、ドラマチックなストリングス、そしてThe CautionsにみられたWeezer的アプローチが上手く溶け合っていて、ベッタベタな展開ではあるが、だからこそ美しくて心に響く、正にパワーポップのおいしい要素がふんだんに詰め込まれたアルバムに仕上がっている。
Ben Folds Five的アップテンポなピアノに時折ジャジーなコードワークが印象的なオープニングトラック「On Holiday」から始まり、サーフ・ポップの面影を漂わせるM-3「New Earth」、ゴージャスなコーラスワークが光るミドルテンポなシャッフルナンバーM-6「Scratch Ticket」、いじめをテーマにした感動的なバラードM-7「To All You Guys」など実に幅広いタイプの楽曲が並び、彼のソングライターとして引き出しの多さに改めて気付かされる。それでいて雑多な印象を全く与えない芯の強さもある。アルバムを通して、アップテンポの曲はほとんどないが、やはりミドル~スローテンポの曲でこそ彼のシンガーとしての魅力が活かされているように思う。そこには純粋な歌の力が隙間なく敷き詰められていて、Ericの少しかすれて憂いを帯びた歌声がダイレクトに響いてくる。才能と実力が実を結んだ素晴らしいデビューアルバムである。
<トラックリスト>
01. On Holiday
02. Trying Too Hard
03. New Earth
04. Alive (But Barely Breathing)
05. In Love With a Broken Heart
06. Scratch Ticket
07. To All You Guys
08. Running In Place
09. She Needs Air
10. Sugar and Cream