Blood Rush Hour

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BLOOD RUSH HOUR "Shrink"

2012(SELF) ¥1,680(taxin)

数々の海外パワーポップ系サイトで、大絶賛の嵐となっているデビューアルバム。メンバーはSSW+マルチ奏者のRobert W DeStefano(本作ではVo,Key)、Tim Hamill(B,G,Vo)、Peter Tomlinson(Vo,G)、Jack DeStefano(G)の4人+ドラム&パーカッションのMal H Limit……そうです! The Sonic Executive SessionsのTimさんが録音やミックスだけでなく、プレイヤーとしても大活躍しています。

さて、肝心のサウンドですが、一言でまとめるのは非常に困難。70年代のAndrew Goldや10ccのごときマジカルポップ、当時は産業ロックと揶揄されていたけど実は高品質なAsiaやJourneyみたいなハードポップ、メキシコのマリアッチ風トランペットが効いたハッピーチューン(歌詞はそうでもないようですがw)、次代に残る名曲の風格が漂う超美メロ・バラード……。書き出したらキリがないほど幅広いスタイルの楽曲が、たっぷり14曲揃っています。しかも“クールなJazzテイスト→Beach Boys的なコーラスパート→boogieなサビ…”と鮮やかに急展開する「Into The Fire」のように、1曲の中に3曲分、4曲分の要素を詰め込んだ曲が多数。

Jellyfish、Martin Newell、Crowded House、XTC、Klaatu、Kinks、Bryan Scaryなど、引き合いに出されているアーティストがこれまた多彩なのも当然です。「でも、これだけバラエティに富んでいるのに、アルバム全体にはちゃんと一本スジが通っているんだ。そう、ビートルズみたいにね」みたいなことが、どこかの海外レビューに書かれていましたが、まさにその通り。どこを食べても、The Blood Rush Hourの味がします。

複雑かつ精緻に作り込まれた音楽だけど、リラックスして楽しめるのも大きな魅力。おそらくその理由のひとつは、全曲ともサビがとんでもなくキャッチーで風通しがいいこと。それに加え、Robertさんの温かくて人間くさい歌唱もポイントかもしれません。なお、本作にはThe Sonic Executive SessionsのChristian Phillipsさんもコーラスで数曲参加。Robertさんと交代でリードボーカルをとっている「My Life With The Omni One」は、何種類ものキュートなパーツがモザイクのように組み込まれた超おすすめ曲です♪

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