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  • >(ゲスト講師)やっし

Jun 11, 2008

ROCKPILE “ Seconds Of Pleasure”

ROCKPILE / Seconds Of Pleasure
(1980/Columbia, Legacy/UK)

 また間が空いてしまいました。ども、やっしです。最近デイヴ・エドモンズのRCA/アリスタ時代、スワン・ソング時代の紙ジャケ再発があったので、その絡みでパワーポップにも馴染み深い名盤をご紹介しましょう。ロックパイルです。

 ニック・ロウ、デイヴ・エドモンズというパブ・ロック・シーンの希代の二大ヒーローを擁する4人組ロックパイルは、77年デイヴ・エドモンズのバックバンドとしてその活動をスタート。デイヴ名義の3枚のアルバム("Get It", "Tracks On Wax 4", "Repeat When Necessary") 、ニック名義の1枚のアルバム("Labour Of Love")などに参加。80年にロックパイル名義で発表された唯一のアルバムがこの "Seconds Of Pleasure"(邦題『ロンドンの街角』)です。

 完璧なロックンロール・アルバム、そしてパワーポップとしてもマスターピースと呼べる作品でしょう。全曲捨て曲なしのゴキゲンさ。チャック・ベリーからバディ・ホリー、ビートルズ、ビーチ・ボーイズ、ホリーズ、エヴァリー・ブラザーズ、各時代のありとあらゆるスタイルのロックンロールのエッセンスが最良の形で結実している。楽曲のクオリティ、演奏の充実度、ポップとしての咀嚼度、いずれも申し分なく素晴らしい。

 パワーポップ・ファンに特におすすめは1曲目のウィルソン・ピケットのカバー "Teacher Teacher"(恥ずかしながらロックパイルがオリジナルだと長らく勘違いしてました…それぐらい素晴らしい出来!)、ウキウキしてくる曲調の3曲目 "Heart" あたりでしょうか。もちろん他の曲も良いですよ。難しいことを考えず楽しく聴き流せるという意味では最高かつ極上のパーティ・アルバムでもあります。

 このアルバム後、81年にはロックパイルは解散。その原因は様々な憶測が飛んでいるが、こんな素晴らしいレコードを1枚残してくれただけで十分なんじゃないかと思ってしまいますね。

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May 19, 2008

SEVENTEEN “A Flashing Blur Of Stripped Down Excitement”

SEVENTEEN / A Flashing Blur Of Stripped Down Excitement
(2002/Vinyl Japan/JAPAN)

 ども、ご無沙汰しています。過去に少しレビューなど書かせていただいていた、やっし@GROOVY*PLACEです。またパワーポップのマスターピース紹介の記事など、ちょこちょこ書かせていただきます。よろしくお願いしますデス。

 さて、再開一発目はセヴンティーンの紹介です!

 02年にヴィニール・ジャパンよりリリースされたセヴンティーンの編集盤。アルバムを発表するなく、シングル1枚(「ドント・レット・ゴー」)のみリリースして解散してしまった彼らの足跡を捉えた貴重なディスコグラフィーCD。しかし、このコンピレーションも現在は既に廃盤となっており、再発が待たれるところ。

 北ウェールズはリール出身の4人組。結成は78年。当初はトイレッツを名乗っていたが、やがてセヴンティーンと改名。ちなみにバンド名はピストルズのあの大名曲(大好き!)から採られたという。メンバーはマイク・ピーターズ(Vo/B)をリーダーに、エディ・マクドナルド(G)、ナイジェル・バックル(Dr)、デイブ・シャープ(G)。

 そのサウンドはというとモッド・リヴァイバルを通過したパンク・パワーポップといったところ。そこに隠し味的にマージービート(ビートルズの「プリーズ・プリーズ・ミー」のカバーもあり)。明るく親しみやすいメロディ、ハーモニー、ビート、いずれも素晴らしい。これを嫌いなパワーポップ・ファンなんているのだろうか。

 このコンピレーションは、幻となってしまったオリジナル・アルバム「ベスト・オブ・ブリテッシュ」に収録されるはずだった12曲に、既発表のシングル収録2曲を追加した全14曲。

 おすすめは何といってもシングル「ドント・レット・ゴー」に尽きるでしょう。パワーポップ史上に残るアンセム・チューン。キャッチーなリフ、打ち鳴らされるハッドクラップ、これで盛り上がらなきゃ嘘だ。マイク・ピーターズほか二人はセヴンティーン解散後、ジ・アラームを結成することになる。

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Jul 2, 2007

THE BEAT “The Beat”


THE BEAT / The Beat

(1979/Wagon Wheel/USA)

 パワーポップ史に残る名曲 "Hanging On The Telephone"(ブロンディによるカバーが有名)を残したザ・ナーヴスはシングル1枚のみを残し惜しくも解散。3人のメンバーのうちギターのジャック・リーはソロへ、ベースのピーター・ケースはプリムソウルズを結成、そしてドラムのポール・コリンズは楽器をギターに持ち替えマイクを取り、ザ・ビートを結成する。

 メンバーはポール・コリンズの他、スティーブン・ホフ、ラリー・ウィットマン、マイケル・ルイーズの4人。その後、UKのスカバンドと同名であった為、ポール・コリンズ・ビートを改名する。セルフタイトルを冠した "The Beat" は79年のリリースした彼らのファースト・アルバムだ。

 現在のアメリカン・パワーポップの源流というべき作品で、ノリが良くてロケンローしてて最高。なにしろ曲がキャッチー! 生まれながらにしてクラッシックという離れ業をやってのけています。その音の特徴を端的に例えると、ラモーンズやブロンディ、ディクティターズのようなハイエナジーなロック/パンク・グループのスタイルに近いといっていいだろう。

 その「ビート」というバンド名に違わないリズム楽器の小気味良さとエッジのあるギターは、いま聴いても全然古臭さを感じない。マジでカッコ良過ぎです。そのフックのあるメロディとコーラスは、バブルガムぽくもあり、またパンクぽくもあり、一度耳にすればすぐ覚えてしまうような親しみやすさだ。

 マフスもカバーしてた "Rock N Roll Girl"(M-1)、Don't Wait Up For Me"(M-4)、エクスプローディング・ハーツがカバーしてた "Walking Out On Love"(M-6)、ちょっとサーフ・テイストな "U.S.A."(M-8)、"Let Me Into Your Life" 等など "Hanging On The Telephone" に負けないぐらいアンセム級のポップ・チューンばかり。全曲捨て曲なし、掛け値なしのマスト・オア・ダイ盤。

 現在(これまた名盤の)セカンド "The Kids Are The Same"(82年)と一緒になった 2 in 1 のCDも出ているので、買うならこちらの方をお薦めします。

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Jun 25, 2007

20/20 “20/20, Look Out!”


20/20 / 20/20, Look Out!
(1979-81, 1995/Oglio Records, SME/USA)

 ある意味において、これはパワーポップのひとつの理想形と言ってもいいかもしれない。「甘さ」「カッコよさ」「ポップさ」の3拍子揃ったパワーポッパー、20/20(トウェンティ・トウェンティ)のご紹介です。

 20/20 はオクラホマ州タルサの高校の同級生だったスティーブ・アレン(G.&Vo.)とロン・フリント(B.&Vo.)の二人を中心に結成。その後ロスに移り、メンバー交代を繰り返しながら、現在のバンド名 20/20 となる。78年にボンプよりシングル "Giving It All" でデビュー。これが初期ビートルズを思わせる3コードのシンプルなロックンロールでいい。アルバムには残念ながら未収だが、ボンプの20周年2枚組コンピ "Destination: Bomp!" で聴ける。79年にセルフタイトル・アルバム "20/20" でデビュー。81年にセカンド "Look Out!" をリリース。今回紹介するCDはそれら2枚のアルバムを1枚にまとめて95年に再発されたもの。

 お気に入りの曲をいくつか挙げてみよう。まずは、その後のLAパワーポップ・シーンの賛歌(アンセム)的存在にもなった M-2 の "Yellow Pills"。ファンジンやコンピCDシリーズの名前に採られたので耳にしたこともあるだろう。エッジはさほどないが、アップリフティングで胸にグッとくる名曲だ。続く M-3 "Cheri" は熱いロッキン・チューンで、耳に残るリフレインと分厚いコーラスが素敵。ちょっとパブロック的な雰囲気でドライヴィンなギターがシビれる M-6 "Tonight We Fly"、ヴェルクラがライブでカバーしていた M-7 "Remenber The Lightning" も名曲(ちなみにヴェルクラ版のこの曲は "Rock Concert" というライブ盤で聴けます)。M-10 "Backyard Guys" も忘れてはならない。セカンドのオープニング・チューン M-13 "Nuclear Boy" はいちばん大好きな曲。パワポ好きでこの曲が嫌いな人なんているんだろうか。サビのユニゾンなんて、思わずシンガロングしてしまうこと必至。

 まだまだ好きな曲は多いのだが、文字数が尽きた。残りはぜひ自分の耳で確かめて欲しい。捨て曲なしなので、他にもきっと引っかかる曲がたくさん見つかるだろうと思う。

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Jun 24, 2007

SHOES ”Present Tense, Tougue Twister (2 in 1)”


SHOES / Present Tense, Tougue Twister (2 in 1)
(1979-1981, 1988/Elektra, Black Vinyl Records/USA)

 パワーポップを成立させる三要素を「ビート」「メロディ」「ハーモニー」とするならば、このバンドはやや「ビート」は弱めかもしれない。しかし、こと「メロディ」「ハーモニー」に関しては極上中の極上。パワポ界屈指の美メロKING・シューズのご紹介です。

 シューズはイリノイ州ジュオン出身の4人組。オランダにも同名のバンドがいるので要注意。ジョン(Vo, B)とジェフ(Vo, G)のマーフィー兄弟と、その幼なじみゲイリー・クリーブ(Vo,G)らを中心に70年代半ばに結成。この "Present Tense" と "Tougue Twister" は彼らのメジャー(エレクトラ)でのファーストとセカンドにあたる。

 派手なギターリフはほとんど存在せず、シンプルなコード進行のバッキング、ドラムも機械的に一定のリズムを刻むばかりでオカズは皆無に近い。ミニマリズムといって良さそうな反復。色がないぶん、甘いメロディとボーカルが際立つ仕掛け。そんな訳で、耳当たりがいいのでさらっと流れていってしまうが、1曲1曲の粒立ちはめちゃくちゃ良い。捨て曲なし。いい意味でも悪い意味でも金太郎飴状態。

 ボンプから出したシングル "Tomorrow Night" (M-1)、"Now And Then" (M-7)、後にDM3によってカバーされた "Too Late" (M-2)、"Cruel You" (M-10)、"I Don't Wanna Hear It" あたりのパワポ・チューンも勿論いいが、60年代の英国音楽への(あるいはバーズあたりのフォーク・ロックへの)憧憬を感じさせる"Your Very Eyes" (M-4)、"Every Girl" (M-8)、"Three Times" (M-11) などの美麗な曲群も捨てがたい。

 思わず "Present Tense" の感想ばかりに傾いたが、セカンド "Tougue Twister" もその延長線上で素晴らしい。時代もあってかシンセ・キーボードが入ったニューウェーブ的なアレンジも見受けられるが、「メロディ」「ハーモニー」の良さは相変わらず。ちょっとチープ・トリックぽいスタイルの曲もある。

 レジェンダリーな存在な彼らだが、実はいまだ現役のバンドで、10年ほど前にアルバムもリリース(ドラムでリック・メンクがゲスト参加!)している。現在はメジャーを離れ、自らのレーベル Black Vinyl Records を運営。メジャー時代の過去の音源もここから出している。

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Jun 23, 2007

ゲスト講師 やっし様 from GROOVY*PLACE

 ども、はじめまして、やっしといいます。このたび、Powerpop Academy でレビュー BLOG を書かせていただくことになりました。多くの方にパワーポップの魅力を知ってもらう一助となればいいな、と考えています。権威的・啓蒙的になることなく、あくまでリスナー目線で良盤を紹介していくつもりです。ドゾドゾよろしくお願いします。

 取り急ぎ自己紹介―――。
 1971年長崎県生まれ。パワーポップ/ギターポップ中心のディスク・レビュー・サイト GROOVY*PLACE 管理人。なんちゃってDJ&イベントオーガナイザー(現在開店休業中)。実体は一介のサラリーマン。古本&中古盤漁りと町歩きをこよなく愛するワナビー植草甚一な36歳。洋楽の聴き始めは中学生の頃で、MTVやベストヒットUSAがきっかけ。18歳の時にストーン・ローゼスらマッドチェスター・ムーブメントを体験し、くすぶっていた洋楽熱が再燃。20代はその影響でテクノやハウスなどのエレクトロニック・ミュージックに傾倒し、同時にブリット・ポップなどのUKロックにも熱中。20代後半よりUSインディにハマりはじめ、その中でもパワーポップ的なフィーリングを持つバンド群に惹かれていく。聴く者の心をグルーヴィに震わせる、グッド・メロディー、グッド・ハーモニー、グッド・ヴァイブレーションなバンド&楽曲を日々探求しています。

GROOVY*PLACE → http://groovyplace.at.infoseek.co.jp/

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